夏の秘めごと 13
忙しなくバスタオルを使った大二郎は、禎克の手を曳くと、寝台の横に坐らせた。湯上がりの肌にバスローブをふわりと肩から掛けると、膝を付いてうつ伏せになるようにささやく。
戸惑っていると、こうするんだよと手を伸ばして伏せて見せた。
「……こう?」
視線を絡めて、変わらぬ笑顔を向ける大二郎にほっとする。
「そうそう。さあちゃんが一番楽な方法で、いい気持ちになれるようにするから、おれに任せて。ね……。足、少し開いて。」
「う……ん……。」
パイルの生地越しに、背中に大二郎を感じた。下部に当たるのは、自分と同じ大二郎の昂まった部分だとわかる。
心臓の音が大二郎にも聞こえているのではないかと思うほど、高く激しく打ち続けた。経験の無い禎克には、下肢に当たる熱いものの行き先が自分の最奥だと、想像しなかった。
肩から落とされかけたバスローブが、少しでも引っかかって良かったと思う、高ぶる自分をすべてをさらけ出すのは、とても耐えられそうにない。
でも、大二郎が自分に触れるのは、決して嫌ではなかった。
全身を耳にして、上半身を寝台に投げ出すような格好で、痛いほど打ち続ける心臓の鼓動に耐えながら、禎克は静かに伏せていた。背後から、いくつものキスが落とされるのを感じていた。否応なしに、反応して禎克の肌が染まる。
「さあちゃん……。おれ、ずっと、さあちゃんとこうしたかった。本当はこの前もね、こうしたかったけどすごく我慢したんだよ。嬉しい。やっと、願いがかなう……。」
「ぼくは……大二郎くんに何をしてあげればいい?分からないから、お、教えて……?」
「きゃあ~、さあちゃんってば。何ていじらしいっ。」
「わっ……。」
禎克の必死のその言葉に喜んで、背後から被さった姿は、傍目にはきっと滑稽なものだった。長身の禎克に張り付いた大二郎は、大木に掻きついた小動物のように見える。
そして……まぎれもなく、小動物は奮闘した。
*****
クーラーの効いた部屋で、禎克は薄く汗ばんでいた。
「う、だ……だいじろ……う……く……。」
「大丈夫?さあちゃん、……ゆっくりするから。」
言葉通り、大二郎は性急に事を運ばなかった。
大切に愛おしむように、恋人を追い詰めて、新鮮な反応を確かめながら感じる場所を見つけ拾ってゆく。
「さあちゃん、感じる……?」
「はっ、はふ……っ。」
「だ……いじろ……うくん……。」
唇が落とされる場所から、熱を持った花が咲く。
長い指が煽り、背筋を這い登る快感にさらわれながら、禎克は大二郎の名を呼んだ。洩れる吐息が、だんだんせわしくなって、追い詰められているのを感じる。
「さあちゃん。辛くない……?」
ゆっくりと背後から膝を付き、高まりを押し付けたまま、手を伸ばして禎克自身に触れて確かめた。
「うん……。気持ち……いい。大二郎くんの手……温かくて優しいね。」
「良かった。もっと、いい気持ちになって、さあちゃん。」
「大二郎くんも……。」
「うん、でもちょっと待って。このままだと、いくらなんでも無理だと思うから。」
「何が?」
何か粘着質なものが背後から垂らされ、下肢を流れるのに気が付いた。
敏感な最奥に、再びぷつりと指が忍び込む。
「ひゃ……あ。」
(*⌒▽⌒*)♪ 必死の大二郎くんと、さあちゃんでっす。←……こいつも。
肌を合わせる場面は、他の場面に比べると、書くのに数倍の時間がかかります。
ちゃんと、初々しい二人の秘めごとが書けているかどうか分かりませんが、伝わっていればうれしいです。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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