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夏の秘めごと 17 

名残は尽きず離れがたかったが、別れることにした。
何度めかの深いキスを交わした後、二人は再び引き寄せられるように抱き合った。

「さあちゃん……。声が聞きたくなったら、電話してもいい?」

「うん。ぼくもできれば、少しでもいいから大二郎くんに逢いたい。」

「いっぱい、愛し合おうね。」

禎克は返事の代わりに真っ赤になって、そそくさと着替えをした。

「さあちゃん。おれ、そこまで送っていくよ。」

禎克のバッグを抱えた大二郎に、禎克は吹いた。

「大二郎くん。せめて、ぱんつくらい穿かなきゃ。」

「そうだった~。」

締め付けるのは嫌いなくせに、穿くのはぴたりと張りつく黒のビキニだったりする。ふと気がついて尋ねてみた。

「ねぇ、大二郎くんの足って、つるっつるだね。ぼくも、そんに濃い方じゃないと思うけど、産毛も生えてないんだね。」

「ああ、これ?剃毛してる。」

「そうなの?」

「だって、花魁の白い足にすね毛生えてちゃ、千年の恋も冷めるでしょう?それに、小さくて可愛い柏木大二郎くんは、何も知らない子供じゃないといけないんだ。なるべくファンの期待を裏切らないように、気を付けてる。」

「見た目は可愛いけど……その……結構、中身は男らしいと思ったよ?」

「がんばったもの!おれ、さあちゃんの前ではかっこいい男でいたか…………あ。そうでもなかった。けっこうぐだぐだだった。脳内シュミレーションだと、こんなはずじゃなったんだけどな~。」

「そうだね、チビの頃の方が男らしかったかもしれないよ。」

「ぷんっ。さあちゃんだって、チビの頃の方が可愛かったよ。」

でも……と言葉を続けた。

「今が良い。今のさあちゃんと出会えてよかった。さあちゃん……。」

「うん。ぼくも、小さくて甘えん坊で泣き虫の大二郎くんが好きだよ。」

「それって、なんか、殆どいいところないじゃん。」

「ある、ある。」

ホテルの裏口でじゃれあって、もう一度抱き合った時、じっと見つめる気配を感じた。

*****

「あ。」

「金剛。」

「上谷先輩……。」

正直、一番逢いたくない存在だった。
思わず、一歩後ずさったのに大二郎が気が付いた。
先ほど打ち明けた、先輩の無体は大二郎にとっても、ひどく不愉快なものだった。大二郎はぐいと禎克の前に半身を入れた。

「何かご用ですか?ここは関係者しか出入りできませんけど。」

「関係者ではないが、金剛の知り合いだ。話があるんだ。金剛、ちょっといいか。」

禎克は、凍りついたような表情で上谷を見つめていた。




(`・ω・´)上谷 「金剛。話が有る。」

  │ω・`) 禎克 「……なんでしょう~」

( *`ω´) 大二郎 「あ~。あいつ。さあちゃんをいじめたやつだ。」


後、二話くらいで終わる予定です。
対峙しなければこの話は終わりません。はたして、上谷の真意は……。

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