夏の秘めごと 7
潤んだ目で責めるように上谷を見たが、上谷は酷薄にも見える薄い笑みを浮かべたまま顔を寄せると、禎克の首筋を舐め上げた。
「やめて、くだ……さい。」
ぞくりと快感と悪寒が入り混じったような、例えようのない感覚が禎克を包んでゆく。
肌が粟立った。
悪意の込められた愛撫に翻弄されて、若い牡の先端は露を抱きしとどに濡れそぼっていた。理性では、追い詰められてゆく自分を制御できなかった。
ふふっと、上谷が鼻先で笑う。
「たまには抜かないと、体に毒だよ。ぴ~ちゃん。」
「せ……んぱ……ぃ。や……。」
「う……ぅ……っ!」
信じられない思いだった。
放出の瞬間、上谷はするりと手を抜きトレーニングパンツを引き上げた。
いつも自分に優しい先輩を頼りにしてきた禎克は、茫然とした思いで上谷を見詰めていた。
無理やり下着の中に吐精させられたことよりも、蹂躙された思いの方が大きい。
放出の解放感よりも、見てしまった上谷の違った一面に戦慄していた。
*****
そのままにしておくのも気持ちが悪いので、汗を吸ったタオルを引っ張り出して仕方なくぬぐったが、禎克は二日前の大二郎との行為との差を痛感していた。
こんな悲しい吐精ではなく、互いに抱き合って求め合ったそれは、稚拙なものだったが、甘美な思いやりに溢れた行為だった。
拙いけれど、深いキスだって、本気で大二郎を愛おしいと思ったからできた。
先ほどまで誰よりも信頼していた上谷に、下肢だけではなく何もかも穢された気がしていた。
「金剛……大丈夫か。」
どこか、憐憫を含んだ上谷の言葉は、もう禎克には届かなかった。
背を向け丸まった禎克の背に、上谷がそっと触れる。
「ごめん。悪戯が過ぎたな。なぁ、なんでも教えてやるよ。金剛も……あの綺麗な幼馴染とやりたいんだろ?」
血の気を失った白い顔で振り向くと、禎克は上谷を睨みつけた。
「そんなんじゃない。」
「何が?男なんだから、好きになったら抱きたいだろう?それが自然だ。きっとあの幼馴染だってそう思ってるさ。」
「大二郎くんは、ぼくの嫌がることなんてしません。先輩とは違う。」
「金剛……。」
「卑怯者。」
予期せぬ激しい言葉は上谷をたじろがせた。
ぽろぽろと転がり落ちて来た滴を拭いもせずに、禎克はするりと上谷の脇を抜け、前の席へ移動した。
何か言いかけたようだった上谷は、禎克の潔癖な視線に続く言葉を飲み込んだ。
伸ばしかけた指を下ろし、上谷は座席に深く沈んだ。
「何だよ、処女か……つうの。何でもないじゃないか、軽く抜いたくらい。」
上谷は気付いていなかった。子供のように真っ直ぐに慕って来た後輩の視線に、怯えと恐怖が含まれてしまった事。
*****
禎克は固く目を閉じて、汚れたタオルに顔を埋めた。
瞑ったまぶたの裏で、紅いお振袖を着た禿の女の子が手を伸ばして笑いかけた。
『さあちゃ~ん……』
大二郎に逢いたかった。
(´;ω;`) 禎克 「先輩のあんぽんたん……きらい。」
(°∇°;) 上谷 「が~ん……」
さあちゃんは、どうやら信じられない奥手みたいです。
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「やめて、くだ……さい。」
ぞくりと快感と悪寒が入り混じったような、例えようのない感覚が禎克を包んでゆく。
肌が粟立った。
悪意の込められた愛撫に翻弄されて、若い牡の先端は露を抱きしとどに濡れそぼっていた。理性では、追い詰められてゆく自分を制御できなかった。
ふふっと、上谷が鼻先で笑う。
「たまには抜かないと、体に毒だよ。ぴ~ちゃん。」
「せ……んぱ……ぃ。や……。」
「う……ぅ……っ!」
信じられない思いだった。
放出の瞬間、上谷はするりと手を抜きトレーニングパンツを引き上げた。
いつも自分に優しい先輩を頼りにしてきた禎克は、茫然とした思いで上谷を見詰めていた。
無理やり下着の中に吐精させられたことよりも、蹂躙された思いの方が大きい。
放出の解放感よりも、見てしまった上谷の違った一面に戦慄していた。
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そのままにしておくのも気持ちが悪いので、汗を吸ったタオルを引っ張り出して仕方なくぬぐったが、禎克は二日前の大二郎との行為との差を痛感していた。
こんな悲しい吐精ではなく、互いに抱き合って求め合ったそれは、稚拙なものだったが、甘美な思いやりに溢れた行為だった。
拙いけれど、深いキスだって、本気で大二郎を愛おしいと思ったからできた。
先ほどまで誰よりも信頼していた上谷に、下肢だけではなく何もかも穢された気がしていた。
「金剛……大丈夫か。」
どこか、憐憫を含んだ上谷の言葉は、もう禎克には届かなかった。
背を向け丸まった禎克の背に、上谷がそっと触れる。
「ごめん。悪戯が過ぎたな。なぁ、なんでも教えてやるよ。金剛も……あの綺麗な幼馴染とやりたいんだろ?」
血の気を失った白い顔で振り向くと、禎克は上谷を睨みつけた。
「そんなんじゃない。」
「何が?男なんだから、好きになったら抱きたいだろう?それが自然だ。きっとあの幼馴染だってそう思ってるさ。」
「大二郎くんは、ぼくの嫌がることなんてしません。先輩とは違う。」
「金剛……。」
「卑怯者。」
予期せぬ激しい言葉は上谷をたじろがせた。
ぽろぽろと転がり落ちて来た滴を拭いもせずに、禎克はするりと上谷の脇を抜け、前の席へ移動した。
何か言いかけたようだった上谷は、禎克の潔癖な視線に続く言葉を飲み込んだ。
伸ばしかけた指を下ろし、上谷は座席に深く沈んだ。
「何だよ、処女か……つうの。何でもないじゃないか、軽く抜いたくらい。」
上谷は気付いていなかった。子供のように真っ直ぐに慕って来た後輩の視線に、怯えと恐怖が含まれてしまった事。
*****
禎克は固く目を閉じて、汚れたタオルに顔を埋めた。
瞑ったまぶたの裏で、紅いお振袖を着た禿の女の子が手を伸ばして笑いかけた。
『さあちゃ~ん……』
大二郎に逢いたかった。
(´;ω;`) 禎克 「先輩のあんぽんたん……きらい。」
(°∇°;) 上谷 「が~ん……」
さあちゃんは、どうやら信じられない奥手みたいです。
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