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紅蓮の虹・11 

・・・誰かが髪を触ってる・・・

薄く目を開けたら、そこには鏡があった。

「おはよう、わたしの虹。」

おでこに触れる、何かの柔らかな感触・・・?

ぶちゅっ・・?

「うっわ~~!!??」

シーツを引っつかんで、ベッドから飛び降りた。

・・・正しくは、落ちた。

「何という、挨拶だ・・・」

不愉快そうに、そいつは立ち上がった。

それは、こっちの台詞だ。

何もまとっていない、生まれたままの格好で。

朝陽を浴びても、火傷したり、溶けないところを見ると、とりあえず吸血鬼ではないらしかった。

・・・何でもいいから、服を着てくれ。

昨日、父親と名乗ったそいつは、今日16歳の俺と同じ年に見えた。

「おまえ、なにものだ・・・?」

そいつは、薄く笑った。

「昨日、会ったじゃないか。」

「昨日会ったときは、確かもっと年上だった・・・」

「ああ・・・こっちの姿が本当なんだ。」

「この姿の方が、楽でいい。」

「シンクロするのも、たぶんこの方がいいだろう。」

ドアがノックされ、爺さんがモーニングティーとやらを運んできた。

「おはようございます。お食事もこちらでなさいますか?」

「うん。サイドテーブルを持ってきて。」

「何、言ってんだよ。」

飯は着替えて、テーブルで食うもんだ。

「年寄りを使うな。」

「さっさと顔を洗って、おまえも食堂で飯を食え。」

「・・・だそうだ。」

爺さんに目配せして、そいつはやっとガウンを引っ掛けた。

金持ちのやることは、わけがわからない。

ていうか、とりあえず、パンツをはけ。

わけがわかんねぇ!



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