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紅蓮の虹・15 

役目を終えた陣形の中には、長い赤い髪を腰まで伸ばした青年がいた。

俺は、まず指が曲がるか試してみた。

動きはぎこちないが、上手く行ったのか・・・?

両腕を覆っていた青い鱗は見えない。

姿見の中には、少し困った顔をした俺。

薄く背後に、コウゲイが二重に透けて見える。

主人格は、どっちになるんだろう・・・?

流れてくるコウゲイの古い記憶はおびただしかった。

薄れてゆくわずかな虹の記憶。

自然に入れ替わる代謝のように、コウゲイと虹は一つの人格を得た。

そうだ、俺にはすべきことが有る。

降り注ぐ過去の記憶に支配されながら、俺は懐かしい場所に帰りたいと願った。

人々が篭城する、原城へ・・・

原城・・・

島原の乱は、始まったばかりだった。

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