紅蓮の虹・8
よくよく考えると、ここに来たのは強引に連れて来られたようなもんだ。
爺さんは、施設長の目前に証拠書類を山と広げ、大切な俺がいかにして行方不明になったか演説をぶちあげた。
広げたアタッシュケースの中に、札束を山ほど忍ばせて経営が思わしくない施設に善意を見せた。
坊ちゃまのお世話になった場所です。
この先の経営について、困ったことが有れば何なりとおっしゃってください。
そんな笑顔で、異例の処置を勝ち取って、俺は今ここにいるのだ。
たった一晩で、人生が変わった。
側で長い足を組んでいる男は、やはり身内には違いないのだろうと思う。
近くで見ると、頬をつついてみたくなる・・・
「どうした?わたしの虹。」
どあっぷ!
「うわ~!」
「遠慮しないで、わたしに触れてもいいぞ。
そうだ、これから一緒に湯を使おう。」
冗談じゃない。
何がうれしくて、親父と一緒に風呂に入らなきゃならないんだ。
「照れるな・・・」
「違うっ!」
おまえ、ぜったいどこかおかしいだろ・・?
行方不明だった息子が手元に戻ったというわりには、妙な余裕を持って遊んでいるように見えた。
「それより、それはなんだよ。」
額に入った、それは何か古い旗のように見えた。
聖杯と細長い十字が描かれていた。
それに二人の天使。
天使が誰なのか、俺はそれを知っている気がする。
俺はきっとそいつのすぐ側にいたはずだ。
砲弾が飛んできたのだ。
白い綸子の袖が、ちぎれて風に舞った・・・
「・・四郎さまっ・・・!」
身体中を包み込むように既視感が襲ってきて、俺はその場にぶっ倒れて痙攣した。
「虹っ!」
駆け寄る南蛮具足の武士の手の中で、過去の俺は息絶えたのだ・・・・
爺さんは、施設長の目前に証拠書類を山と広げ、大切な俺がいかにして行方不明になったか演説をぶちあげた。
広げたアタッシュケースの中に、札束を山ほど忍ばせて経営が思わしくない施設に善意を見せた。
坊ちゃまのお世話になった場所です。
この先の経営について、困ったことが有れば何なりとおっしゃってください。
そんな笑顔で、異例の処置を勝ち取って、俺は今ここにいるのだ。
たった一晩で、人生が変わった。
側で長い足を組んでいる男は、やはり身内には違いないのだろうと思う。
近くで見ると、頬をつついてみたくなる・・・
「どうした?わたしの虹。」
どあっぷ!
「うわ~!」
「遠慮しないで、わたしに触れてもいいぞ。
そうだ、これから一緒に湯を使おう。」
冗談じゃない。
何がうれしくて、親父と一緒に風呂に入らなきゃならないんだ。
「照れるな・・・」
「違うっ!」
おまえ、ぜったいどこかおかしいだろ・・?
行方不明だった息子が手元に戻ったというわりには、妙な余裕を持って遊んでいるように見えた。
「それより、それはなんだよ。」
額に入った、それは何か古い旗のように見えた。
聖杯と細長い十字が描かれていた。
それに二人の天使。
天使が誰なのか、俺はそれを知っている気がする。
俺はきっとそいつのすぐ側にいたはずだ。
砲弾が飛んできたのだ。
白い綸子の袖が、ちぎれて風に舞った・・・
「・・四郎さまっ・・・!」
身体中を包み込むように既視感が襲ってきて、俺はその場にぶっ倒れて痙攣した。
「虹っ!」
駆け寄る南蛮具足の武士の手の中で、過去の俺は息絶えたのだ・・・・
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