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風に哭く花 5 

翔月の身体の上に屈みこんで、あちこちもて遊んでいた柏木が、何かを思いついて顔を上げた。

しっとりと薄い汗をかいた翔月の胸に、一つ痕を残してキスを贈ると、肌けていたシャツのボタンを留め直し始めた。
ぺリ……と、ガムテープをはがされて、もう気が済んだのだろうか……許されるのだろうか……と、ほっと翔月が息を付いたのも束の間、頭上に上げた手首も下ろされる。
どっと熱く血が通うのを感じた。

「つまらないね。更科君は、早く終わりますようにって念じながら我慢しているんでしょう?しかも脳裏に浮かべているのは荏田青児の手だ。優しくしてあげるつもりだけど、そんな風だと僕の忍耐力にも限度があるからね。」

心中を見透かされて思わずはっとした翔月に、柏木は肘掛けから下ろそうとした翔月の膝がしらを押さえた。

「更科君のここの奥……処女だよね。これくらいなら入るかな……」

柏木は膝裏を押して、思わず瞠目した翔月の固い最奥に何かを押し当てた。

「あっ……いやだ……っ。」

ひやりとした異物を押し入れようとする感触に恐怖した翔月が、のけぞって逃げようとする。自由になった両の手で、何とか柏木を払いのけて逃れようとした。ごとりと重い音がして、床に白い何かが転がった。柏木が拾い上げて見せたのは、翔月が実験用に準備した陶磁器の乳棒だった。

「あ~あ。これの細い方も入らないなんてね。君の蕾は綻ぶのに時間が必要なようだ。おいで……ここなら、真正面に君の好きな子が見えるよ。」

校庭に面した実験室の窓を一つ開くと、柏木は下肢に何もつけていない翔月を立たせた。

「ほら……荏田君の姿が見える。ピッチャーマウンドは、少し高いけど向こうからは上半身しか見えないはずだよ。ほら、気が付いた様だ。手を振ってあげないのかい?……荏田君が、君に気付いて手を上げた……」

促されるまま手を上げた翔月の背後に柏木が張り付いて、下肢に手を伸ばした。ゆるゆると茎がこすられ、やわやわと双果実が揉まれた。

「……やめてくださ……い。駄目……見えちゃう。クラスの女の子が窓から柏木先生の事……見てる。こんな事がばれたら……」

「別に平気だよ。僕は天涯孤独で、失うものなどないからね。別に教職を失っても構いやしないよ。何だったら声を出してもいい。こっちの様子を伺っているあの女子に助けを呼ぶかい?それともマウンドにいる荏田君なら、君が呼べば、あっという間に駆け付けるだろうね。下半身剥き出しで、僕に悪戯されている姿を学校中に知ってもらうかい?荏田君にも、見せてあげたいね……ほら、可愛い顔をしていても、君はれっきとした男の子だよ。知ってる……?このべたべたした先走り、我慢汁って言うんだよ、ロマンチックじゃないね……」

「あぁっ……」

柏木に扱かれて、翔月は窓枠を握り締めたまま、生理的に吐精した。拒みたくとも、がくがくと無意識に腰が振れるのが、悲しかった。
霞んだ目に、振りかぶった青児が見えた。

「青ちゃぁん……」

小さく口を付いた声に、手のひらを汚された柏木が、怒ったように反応した。

「近いうちに、僕を受け入れてもらうよ。覚えて欲しいことはいっぱいあるんだ。それとも、先に荏田青児と絶交してもらおうかな。君の視線の先には、いつもあいつがいる。正直、不愉快だね。」

固く口を引き結んだ翔月は何も言わなかった。
柏木に理不尽に穢されてしまった自分が、誰よりもお日さまの似合う青児にふさわしくないことは分かっていた。青児の優しい手に庇護されながら、誰よりもその手を求めていながら、翔月は一人になろうと決意していた。

「まるで人形のようだ、翔月……冷たくて、何の表情も浮かべない。どうすれば、君は僕の方を向くんだろうね。壊れるまで、うんと愛してあげるよ。」

立ったまま、再び芯を持つまで愛撫された翔月のささやかな物に、柏木は口を付けた。
固く閉じたまぶたの裏で、ユニホーム姿の青児が笑う。

『翔月……!』




本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪

一体なぜこんなことになったのか……話は少し前にさかのぼるのです。


主人公は更科翔月(さらしなかつき)幼馴染は荏田青児(えだせいじ)と読みます。
ちょっと名前に凝りすぎてしまいました。先生の名は柏木としか決めていませんでした。
愛情不足かも……(*ノ▽ノ)きゃ~


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