Caféアヴェク・トワ 君と共に 1
固く閉ざされた扉の向こうは静かで、ひそとも音がしない。
荒木は珈琲を片手に、ちらりとスタッフの顔を見る。
「はい。誰か、松本さんにこれ持ってって~」
談笑していたスタッフは、聞くなり顔を見合わせ沈黙した。
部屋の向こうにいる松本は不機嫌で、煙のたちこめたそこには誰も足を踏み入れたくない。
珈琲を運んで行ったが最後、つかまるのは皆分かっていた。
繰り返されてきた会話はこうだ。
「なあ……お前ら。昼休憩、暇だろ?、ケーキ食いたかねぇか?」
「結構です。」
「間に合ってます。」
「俺のおごりだぞ?高級ホテルのオークジだぞ?」
「店長、うざい~!」
「しつこい~!どうせ直くんの様子を見に行きたいだけでしょ?」
「くそぉ、おまえらっ。人の気も知らねぇで!付き合え~~!!店長命令だ」
「やだ~、横暴~」
「ブラック企業だ~」
「なんだと~!おまえら~!」
実はこの場に、直の姿はない。
直は数か月前から、オークジホテルの製菓部門に出向していた。
自分が勧めておきながら、出向してから、松本は直の仕事ぶりが気になって仕方がない。
気をもみながらも、一人で様子を見に行くのはさすがに気が引けて、誰か連れにならないかと毎日スタッフを誘ってくるのだった。
最初は、有名ホテルの人気バイキングとあって、皆大喜びで出かけたのだが、日を置かず回数を重ねると女性スタッフは二の足を踏んだ。
「たまに行くからおいしいんでしょ?」
「いくらおいしくても、毎日ケーキばかり食べれませんって」
「太っちゃうもん」
「ね~。直くんは、ほとんど毎日帰りに寄るし」
「話はその時に、できるもんね」
「荒木~~。誰も一緒に行かねぇって言うんだよ。くそ~~!チーフのお前が悪い。ちゃんと社員教育しろ~~!」
「いい年して大人気ない……わかりましたよ。俺が付き合います……」
「ほんとか?荒木っ!心の友よ~。」
松本の泣きが入って、荒木は一緒に行ってやると、言うしかなかった。
子供の様に満面の笑顔を向ける松本に、今のは方便だとは言えなくなった。
ため息交じりに事務所から出てくると、前橋が夕刻からの下ごしらえに励んでいた。
「前橋。お前も行くぞ」
「俺は甘いものは苦手なんで、折角ですが遠慮しておきます。適当に賄い作って、みんなと食いますから、お気遣いなく」
「やかましい。上司命令だ。俺が行くってんだから、つべこべ言わずにお前も来るんだよ」
「……リアルジャイアン」
「なんか言ったか?」
「いえ、尊敬する荒木さんに、どこまでも付いていきます。俺のポジションはたぶんスネ夫なんで」
「ふふん。よくわかってんじゃね~か。行くぞ、スネ夫」
涙目の前橋の苦悩に、松本が想いを馳せることはない。
一方、松本は直の仕事ぶりを気にしながら、時間が来るまで、まるで目の前に人参をぶら下げられた農耕馬のように、ただひたすら黙々と会計士に提出する書類と戦っていた。
予約はすでにしてある。
男三人がケーキを食うのが、傍目にどんな風にうつるか決して松本は気にしていない。
今の松本にとって、直の様子をあくまでもそっと目立たぬように、遠くから自然に伺うことが最優先事項だった。
傍目には恐ろしいほど目を引く派手な集団なのだが、恋に盲目となったこの男は気づいていない。
余りにお久し振りすぎて、此花もお越しくださった方も(/・ω・)/……な感じではないでしょうか。
少しずつ思い出してください。丸投げ。←
本日より、よろしくお願いします。
(; ・`д・´) 松本「始めておいて、逃亡とかするなよ」
(*´▽`*) 此花「信用しろよ」
( `ー´)ノ 松本「様子見だな」
(´Д⊂ヽ 此花「がんばるもん……」
荒木は珈琲を片手に、ちらりとスタッフの顔を見る。
「はい。誰か、松本さんにこれ持ってって~」
談笑していたスタッフは、聞くなり顔を見合わせ沈黙した。
部屋の向こうにいる松本は不機嫌で、煙のたちこめたそこには誰も足を踏み入れたくない。
珈琲を運んで行ったが最後、つかまるのは皆分かっていた。
繰り返されてきた会話はこうだ。
「なあ……お前ら。昼休憩、暇だろ?、ケーキ食いたかねぇか?」
「結構です。」
「間に合ってます。」
「俺のおごりだぞ?高級ホテルのオークジだぞ?」
「店長、うざい~!」
「しつこい~!どうせ直くんの様子を見に行きたいだけでしょ?」
「くそぉ、おまえらっ。人の気も知らねぇで!付き合え~~!!店長命令だ」
「やだ~、横暴~」
「ブラック企業だ~」
「なんだと~!おまえら~!」
実はこの場に、直の姿はない。
直は数か月前から、オークジホテルの製菓部門に出向していた。
自分が勧めておきながら、出向してから、松本は直の仕事ぶりが気になって仕方がない。
気をもみながらも、一人で様子を見に行くのはさすがに気が引けて、誰か連れにならないかと毎日スタッフを誘ってくるのだった。
最初は、有名ホテルの人気バイキングとあって、皆大喜びで出かけたのだが、日を置かず回数を重ねると女性スタッフは二の足を踏んだ。
「たまに行くからおいしいんでしょ?」
「いくらおいしくても、毎日ケーキばかり食べれませんって」
「太っちゃうもん」
「ね~。直くんは、ほとんど毎日帰りに寄るし」
「話はその時に、できるもんね」
「荒木~~。誰も一緒に行かねぇって言うんだよ。くそ~~!チーフのお前が悪い。ちゃんと社員教育しろ~~!」
「いい年して大人気ない……わかりましたよ。俺が付き合います……」
「ほんとか?荒木っ!心の友よ~。」
松本の泣きが入って、荒木は一緒に行ってやると、言うしかなかった。
子供の様に満面の笑顔を向ける松本に、今のは方便だとは言えなくなった。
ため息交じりに事務所から出てくると、前橋が夕刻からの下ごしらえに励んでいた。
「前橋。お前も行くぞ」
「俺は甘いものは苦手なんで、折角ですが遠慮しておきます。適当に賄い作って、みんなと食いますから、お気遣いなく」
「やかましい。上司命令だ。俺が行くってんだから、つべこべ言わずにお前も来るんだよ」
「……リアルジャイアン」
「なんか言ったか?」
「いえ、尊敬する荒木さんに、どこまでも付いていきます。俺のポジションはたぶんスネ夫なんで」
「ふふん。よくわかってんじゃね~か。行くぞ、スネ夫」
涙目の前橋の苦悩に、松本が想いを馳せることはない。
一方、松本は直の仕事ぶりを気にしながら、時間が来るまで、まるで目の前に人参をぶら下げられた農耕馬のように、ただひたすら黙々と会計士に提出する書類と戦っていた。
予約はすでにしてある。
男三人がケーキを食うのが、傍目にどんな風にうつるか決して松本は気にしていない。
今の松本にとって、直の様子をあくまでもそっと目立たぬように、遠くから自然に伺うことが最優先事項だった。
傍目には恐ろしいほど目を引く派手な集団なのだが、恋に盲目となったこの男は気づいていない。
余りにお久し振りすぎて、此花もお越しくださった方も(/・ω・)/……な感じではないでしょうか。
少しずつ思い出してください。丸投げ。←
本日より、よろしくお願いします。
(; ・`д・´) 松本「始めておいて、逃亡とかするなよ」
(*´▽`*) 此花「信用しろよ」
( `ー´)ノ 松本「様子見だな」
(´Д⊂ヽ 此花「がんばるもん……」
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