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Caféアヴェク・トワ 君と共に15 

「解いてください、店長……」
「そんなに嫌か?」

松本は、直の目に怯えの色が混じっているのに気づいた。
師と仰いでいた尊敬する男に蹂躙された過去は、時折こんな風に、何かをきっかけにして深く沈んだ場所から突然頭をもたげてくる。嗜虐に曝された忌まわしい過去は、今も直をとらえて放そうとはしない。
松本の知らない過去は腹立たしかったが、傷ついた直の心をいたわるような甘いキスを贈った。

「違うって。直はセクスの時、俺の首つかむだろ?傷が気になって集中できないから、こうしておくんだよ。俺は直を虐めたりしない。俺が直のこと、誰よりも大事にしてるって知ってるだろ?」
「は……い」
「直の丸ごと全部、好きだ。過去も今も……未来も」
「お……俺も……好きです……んっ」

恋の勝者にのみ与えられる神からの祝福は、何よりも豊潤で甘美だった。
目を瞑った直は、何度も降ってくる恋人の唇を受け止めた。
しばらく触れられていなかっただけなのに、松本の舌先が這う場所が熱を持ち、あちこちに飛び火してゆくような気がする。いつもと変わらぬ行為が、手に縛めを受けると、深いところにある見知らぬ感覚を呼び覚ますようだ。
背筋をぞくりと悪寒にも似た冷たい快感が這いあがった。
思わず身悶えする。

「あぁ……っ」
「直」
「放さないで……ずっと、おれを抱いていて……強く……」
「放せって言っても、放してやらない。俺の直……」

顔色をうかがいながら、少しずつ唇が下りてゆく。
ちゅと音を立てて脇腹に赤い徴が散り、頬からずっと足先まで丹念に舐められて、目を閉じた直は甘いケーキになる。
松本はぷくりと膨らんだ乳首に、唇を寄せた。

「あっ……あっ」

起伏もない胸の、吸われ続けて薄く膨らんだ小柱のような乳頭が、つつくとほのかに色を乗せる。唾液でぬらと光っていた。
つんと尖った先端を転がすように口淫し、交互に指の腹でつまみあげながら吸い上げると、抑えようとした甘い吐息が、零れた。

「ほら、直。口開けろ。あ~ん……」
「あ、はぁっ……はぁっ……やだ……」

舌を強く吸われて意識が朦朧とする間に、下着はするりと抜かれてしまった。隠されていた直のセクスが室内の空気に触れて、ふるっと小さく身震いをするのを認めて、松本は微笑んだ。
唇を弄りながら、しっとりと汗ばんだささやかな薄桃色の肉の筒を握りこんで、ゆっくりと擦り始める。
直の白い下腹の筋肉が、弄られるたびに反応してひくひくと波を打った。

「直は、どこも可愛いなぁ。ここ、感じると色が濃くなってひくひくするんだ、色っぺぇ」
「そう言ってくれるの、店長だけ……です。おれなんて、全然可愛くないです……やせっぽちでつまんない体です」
「ばか。俺にとっちゃ世界中で一番、可愛いんだよ。どうしようもなくて、つい虐めたくなるくらいな」
「そこ……ばっかりは……いやだ。我慢できなくなる……あっ、あっ……」
「感じやすいな、直」
「だめ……です。だめ……」
「直が可愛いのが悪い」

同じ言葉を繰り返しながら、片方の手で下肢の中心を弄りながら、松本はじっと上気する顔を覗き込んだ。
敏感な個所を緩く何度も往復する指に翻弄されて、堪えきれずに泣きそうになる。膝頭が開いて、思わず前後にかすかに腰が揺れて泳いだ。
手の自由を奪われたまま、松本の手のひらに射精してしまいそうだ。
抗う声を無視して細い腰を捕まえたまま逃がさず、恋人は耳朶を舐め上げた。

「達けよ」
「あっ、あーーっ、放して……い……達っちゃう……から」
「いいよ、一回出しちまえ」
「だめ……汚してしまう、あっ、あっ、あーっ……」

身体をそらして、直は弛緩した。
身震いと共に、堪えきれずに恋人の手のひらに零れた白い精を見つめて、直は涙ぐんだ。

「ごめ……んなさい。自分だけ、良い気持になっちゃって……」
「いいさ。久しぶりに直がイク顔を見れたからな。おじさんは直が感じている顔を眺めているだけで、飯三杯食えるぞ」
「……おれ、おかずですか?」
「最高級品だ」

ぺろりと指を舐めた松本は、解かれて自由になった直の赤くなった跡を、そっとなぞった。

「直」

真剣な目が直を射すくめた。




甘い場面なんですけど、ちょっとマニアックになってしまいました。
松本は直にどんな話をするのでしょう……(*´▽`*)



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