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紅蓮の虹・40 

「百合ってさ、さっきコウゲイにお父さんを殺さないでって言おうとしただろ?」


百合は、真っ赤になった。


「ごめんなさい。

あたし、虹のお父さんにひどいことを言う所だった。」


「でもあの時、虹が切れたときみたいに、虹のお父さんも目が赤く光ったような気がしたの。」


百合は俺がぶち切れたときの、激しさを知っていた。


いや、あれは百合にじゃなくて、俺に切れてたのよ・・・本当はね。


「あれかなあ・・・やっぱ似てるのかな・・・」


思わぬところで、もう一度「コウゲイ親父説」が浮上した。


俺は百合の目の前にいる時の、30代後半に見えるコウゲイが好きだった。


落ち着いたコウゲイは、とても頼れる感じがした。


一人で何でも決めなきゃとか、踏ん張っているときにコウゲイの姿を見ると・・・


見ると・・・?



「・・・俺は、誰なんだ・・・?」


百合は階下の部屋で眠っている。


灯のない部屋で、コウゲイの目は赤かった。


明らかに気分を害しているのだと思う。


精一杯優しい声で、俺をあきらめさせようとしていた。


「聞いてどうする?」


「わたしの虹。おまえは利口だが性急すぎる・・・」


「はっきりしないのが、いやなんだ。」


「答えが出てるのに、なんで隠そうとするんだよ。」


俺は、精一杯まくし立てた。


「コウゲイだってそうだ。いつまでも過去にとらわれっぱなしなんて、良くないと思う。」


「ずっと、自分を責めて来たんだろ・・・?」


「爺さんだって、そうなんだろ?」


・・・コウゲイの瞳が燃え上がった・・・

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