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紅蓮の虹・36 

授業中でもノートなんか取らなかったくせに、俺は一生懸命文字と格闘した。


あの旗を、どうして持ち出したんだろう・・・?


何の執着があったのだろう。


一番側にいて、軍の指揮を執り、一番四郎をわかっていたはずの右腕、山田右衛門作と言う男に、何があったのか聞いてみたかった。


決していわないと思うけど。


爺さんにとっては一番辛くて悲しい記憶なのだろうと思う。


きっと何かわけがあるに違いない、と、どこかで知っているはずの答えを胸の奥で探してみたが、わからなかった。


「山田右衛門作、陣中旗持ち出し、ただ一人の生き残り投降」


使っていなかったまっさらの歴史のノートに、そう書いた。



調べるほど、不思議な話は色々あった。


もはや、「天草四郎」は実際にいた人だけど、伝説になっているのかもしれなかった。


先ず、遺体はきちんと確認できていないらしい。


消えうせたとの話もある。


例えどんなに破損していても、敵方の大将が誰にもわからないわけはない気がする。


後に身内の首実験とかで、母親が引き出されたらしいが四郎の母親が自分の子をわからないはずがなかった・・・気がする。


乱が終わって大勢と共に晒された首も、行方が分からないらしい。


・・・ああ・・・

それにしても、空調は効いてるしこの空間の居心地のよさったら・・・


急に厚みの増した寝具で、ゆっくり眠れていなかったのかな、俺。


いかん・・・


睡魔が来た・・・
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