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紅蓮の虹・47 

側に来た山田右衛門作に、四郎が陣中旗を巻いて渡した。


何と言ったか、もう俺にはわかっていた。


「取って食べよ。これはわたしの身体である。」


四郎の信仰する、ユダヤ人の王ナザレのイエスの最後の晩餐での言葉だった。


陣中旗には、じょあん(天使)が描かれていた。


四郎の下に、人々が待っている神の使いは現れるのだろうか。


陣中に飾られていた旗を大切に押し抱き、裏切り者のユダの汚名を着た山田右衛門作は、その日夕刻、幕府軍に向けて矢文を放った。


何度も行き交う矢文・・・


老中から、すべてのキリシタンは皆殺しにすると、返答があった。


総攻撃は、間近だった・・・

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