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紅蓮の虹・33 

「さすがに虹さまは感がよろしくて、驚きました。」


その頃、爺さんはイレーネと話し込んでいた。


「そう。」


イレーネは、あっさりと悟ったらしい。


俺の知らない部分は、三人の共通の秘密だった。


明日、俺は図書館に行こうと決めた。


今日の爺さんの様子だと、聞きだすことは無理そうだ。


だったら、パズルのピースを自分で見つけて、組み合わせるしかない。


コウゲイは、どうやら本当に会社を経営しているらしく、帰ってこなかった。


何で、龍が人間界で人に紛れて商売などしているのか、わけがわからなかった。


本を読むのは苦手だが、パズルを解くのは好きだ。


ヒントはある。


爺さんの描いたという、あの古い旗だ。



「お昼は、学食があるからお弁当はいいよ。」


俺は、久しぶりの制服に袖を通した。


「コウゲイがいないときは、学校に行ってもいいだろ?一人だとつまんないし。」


「何なら、コウゲイに聞いてみてよ。

俺、ずっと学校行ってないし、サッカー部のこと気になってるんだ。」


爺さんはどこかに電話をし、頷いた。


「ただし、送り迎えはさせていただきます。」


俺は、爺さんに茶碗を差し出した。


「・・・やっぱ、おかわり貰っていい?」


不思議なことだが、コウゲイがいないと腹がすく。


コウゲイに触れていると空腹感は感じたことがなかったのに。


俺はまだ、水神の眷属にはなっていないということなのか・・・


久しぶりの外出に、腹ごしらえをして、まるで戦闘状態気分だった。


「行ってきます。」

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