【狂おしい秋・学園の狂騒・13】
BL観潮楼秋企画【狂おしい秋・学園の狂騒・13】
開店前の木本の経営するSMバーで、隼はフルーツタワーを眺めて幸せそうだった。
「おなか、ぺこぺこだもんっ。」
そのまま学校に戻る事無く周二の家に来てしまったから、学校では長蛇の列に並んだ人々が騒いで大騒ぎになったらしい。
テレビのモニターに大写しになって、一体誰なんだと話は大きくなったそうだが、何も知らない二人は呑気にフルーツをぱくついていた。
数時間前。
事態の収拾に努めた生徒会長だったが、さすがに張り上げた声も群集にかき消されかけた。
『アクシデントは、文化祭に付き物だよなぁ。』
外部の派手な男が、低い一声で蒼太の手から拡声器を取ると、恫喝するように瞬時に周囲を黙らせた。
「木本さん・・・」
助けてもらったのが嬉しくて胸に縋りつかんばかりの生徒会長、樋渡蒼太を視線で制し木本は学外に出た。
そこにいた、視線が存在の異質さに気が付き、騒ぎになると蒼太が困ることになる。
「なんで、もう帰るんですか?ほら、蒼太から喫茶のチケットこんなに貰ってたのに。ケーキと紅茶くらい、食べて帰りましょうよ。木本の兄貴。も~・・・」
松本は、ほんの少し不服そうだった。
派手な外車も目立つから、遠く離れた駐車場に置いて来た。
何だかんだ言いながら、蒼太が可愛くて仕方がないと思っているのは、傍にいる松本にもばればれだった。
「一本くれ。」
紫煙をくゆらし、高架の歩道橋で座り込むと、漂う煙に視線を泳がせた。
「なぁ・・・蒼太、立派に生徒会長やってたな。」
「あいつ、やっぱり頭良いんでしょうね。あれだけの全校生徒、指一本で動かしちまうんですから。先公も一目置いてたっぽいですしね。」
「自由にしてやらなきゃなあ・・・と、思ってさ。そろそろ、あいつも進路とか考える頃だろ。」
季節はいつの間にか、晩秋となりアキアカネが飛ぶようになった。
「でも、あいつ。木本さんのこと大好きじゃないですか。きっと離れませんよ。」
「そんなときゃ、こっちから別れてやるのが、大人ってもんだろ。」
木本はほっとため息をつき、いつもと違う顔を見せていた樋渡蒼太の顔を思い浮かべた。
『これも、愛?木本さん・・・?』
何故かいつも縋りつくような目で、愛を確認する年下の恋人だった。
狂おしい秋に、引導をわたし自由にしてやろうと思った。
元々、沢木隼に対する「おいた」が過ぎて、仕置き代わりに無理矢理抱いた。
真性サディストの自分に必死で縋る、蒼太を可愛いと本心から思っていた。
だが今日、木本は気付いてしまったのだ。
「蒼太と俺じゃ、生きる世界が違うんだよ。」
そう冷たく言い放った年上の恋人の傍で、蒼太は血の気を失って青白い頬のまま、辛うじて立っていた。
カップを持つ手が、小刻みに震えていた。
・・・それは、又、この先別の話になる。
秋企画のイラストでこの素敵な叔父様を見つけたとき、お話を思いついて、内心ちょっと浮かれてしまいました。
イメージ違ってたら、ごめんなさい・・・です。 此花
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こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
(pioさまカロリーハーフ・chobonさま鼻血ぷぷっの美麗イラスト、素敵叔父様お借りいたしました。ありがとうございました。
開店前の木本の経営するSMバーで、隼はフルーツタワーを眺めて幸せそうだった。
「おなか、ぺこぺこだもんっ。」
そのまま学校に戻る事無く周二の家に来てしまったから、学校では長蛇の列に並んだ人々が騒いで大騒ぎになったらしい。
テレビのモニターに大写しになって、一体誰なんだと話は大きくなったそうだが、何も知らない二人は呑気にフルーツをぱくついていた。
数時間前。
事態の収拾に努めた生徒会長だったが、さすがに張り上げた声も群集にかき消されかけた。
『アクシデントは、文化祭に付き物だよなぁ。』
外部の派手な男が、低い一声で蒼太の手から拡声器を取ると、恫喝するように瞬時に周囲を黙らせた。
「木本さん・・・」
助けてもらったのが嬉しくて胸に縋りつかんばかりの生徒会長、樋渡蒼太を視線で制し木本は学外に出た。
そこにいた、視線が存在の異質さに気が付き、騒ぎになると蒼太が困ることになる。
「なんで、もう帰るんですか?ほら、蒼太から喫茶のチケットこんなに貰ってたのに。ケーキと紅茶くらい、食べて帰りましょうよ。木本の兄貴。も~・・・」
松本は、ほんの少し不服そうだった。
派手な外車も目立つから、遠く離れた駐車場に置いて来た。
何だかんだ言いながら、蒼太が可愛くて仕方がないと思っているのは、傍にいる松本にもばればれだった。
「一本くれ。」
紫煙をくゆらし、高架の歩道橋で座り込むと、漂う煙に視線を泳がせた。
「なぁ・・・蒼太、立派に生徒会長やってたな。」
「あいつ、やっぱり頭良いんでしょうね。あれだけの全校生徒、指一本で動かしちまうんですから。先公も一目置いてたっぽいですしね。」
「自由にしてやらなきゃなあ・・・と、思ってさ。そろそろ、あいつも進路とか考える頃だろ。」
季節はいつの間にか、晩秋となりアキアカネが飛ぶようになった。
「でも、あいつ。木本さんのこと大好きじゃないですか。きっと離れませんよ。」
「そんなときゃ、こっちから別れてやるのが、大人ってもんだろ。」
木本はほっとため息をつき、いつもと違う顔を見せていた樋渡蒼太の顔を思い浮かべた。
『これも、愛?木本さん・・・?』
何故かいつも縋りつくような目で、愛を確認する年下の恋人だった。
狂おしい秋に、引導をわたし自由にしてやろうと思った。
元々、沢木隼に対する「おいた」が過ぎて、仕置き代わりに無理矢理抱いた。
真性サディストの自分に必死で縋る、蒼太を可愛いと本心から思っていた。
だが今日、木本は気付いてしまったのだ。
「蒼太と俺じゃ、生きる世界が違うんだよ。」
そう冷たく言い放った年上の恋人の傍で、蒼太は血の気を失って青白い頬のまま、辛うじて立っていた。
カップを持つ手が、小刻みに震えていた。
・・・それは、又、この先別の話になる。
秋企画のイラストでこの素敵な叔父様を見つけたとき、お話を思いついて、内心ちょっと浮かれてしまいました。
イメージ違ってたら、ごめんなさい・・・です。 此花
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こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
(pioさまカロリーハーフ・chobonさま鼻血ぷぷっの美麗イラスト、素敵叔父様お借りいたしました。ありがとうございました。
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