紅蓮の虹・52
それは、いつ頃の映像だろう。
まだばら色の頬をした少年が、子供達を相手に手品を見せていた。
「ほら、見て。」
「あそこに、尻尾の長い白い鳥がいるから呼んでみよう。」
(あれは、コウゲイ?)
コウゲイは頷いた。
どこにでもいるんだ・・・
「小鳥さん、わたしの手の中にたまごを一つくださいな。」
両手を掲げた、四郎の手の中に白いたまごがあらわれて子供達は歓声をあげた。
「四郎さま。すごい!」
それは、四郎がバテレン(宣教師)に習った南京手妻といわれる簡単な隠しだまの手品だった。
「ほら、小鳥がたまごをくれたよ。」
「これは、五平にあげようね。母上に滋養をつけてあげないと。」
目を輝かせて、五平はたまごを受け取った。
子供達は、いつも無邪気だった。
小さいなりに家の仕事をし、それぞれが役にたった。
ただ、どの子も栄養状態が悪く、四郎はそれが悲しかった。
産後の肥立ちが悪くとも、母親達は赤子を小さな子供の背中にくくりつけて野良へでた。
働いても働いても暮らしは楽にならず、血を吐く思いで新田を開墾すると、税が重くなる・・・
八方ふさがりで、陽のささない冷夏の太陽のように、何の実りもない。
・・・コウゲイは、じっと俺を見つめた。
まだばら色の頬をした少年が、子供達を相手に手品を見せていた。
「ほら、見て。」
「あそこに、尻尾の長い白い鳥がいるから呼んでみよう。」
(あれは、コウゲイ?)
コウゲイは頷いた。
どこにでもいるんだ・・・
「小鳥さん、わたしの手の中にたまごを一つくださいな。」
両手を掲げた、四郎の手の中に白いたまごがあらわれて子供達は歓声をあげた。
「四郎さま。すごい!」
それは、四郎がバテレン(宣教師)に習った南京手妻といわれる簡単な隠しだまの手品だった。
「ほら、小鳥がたまごをくれたよ。」
「これは、五平にあげようね。母上に滋養をつけてあげないと。」
目を輝かせて、五平はたまごを受け取った。
子供達は、いつも無邪気だった。
小さいなりに家の仕事をし、それぞれが役にたった。
ただ、どの子も栄養状態が悪く、四郎はそれが悲しかった。
産後の肥立ちが悪くとも、母親達は赤子を小さな子供の背中にくくりつけて野良へでた。
働いても働いても暮らしは楽にならず、血を吐く思いで新田を開墾すると、税が重くなる・・・
八方ふさがりで、陽のささない冷夏の太陽のように、何の実りもない。
・・・コウゲイは、じっと俺を見つめた。
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