最愛アンドロイドAU 3
相手はまだ若い子供のような男の声だ。
機械音のような気もするし、時差のせいか多少ちぐはぐなこともある。
「……はい。失礼いたしました。当方では、クライアントとアンドロイドは、婚姻のように互いを思いあうような関係であるべきと思っておりますので、そのような契約書を作りました。婚姻関係を結ぶような深い愛情を持って、アンドロイドをお傍に置いてほしいのです。」
「そうか。このふざけた内容の契約は、アンドロイドを大切に扱う決意表明みたいなものなんだな。」
そうです!と、電話の向こうの声が明るくなった。
何だかごまかされたような気もするが、まあいい。契約書通りなら仕方がない。アンドロイドは、じっと待っている。
「では、ご主人さま。契約の儀式を続けましょう。最後に誓いのキスを……。」
「そんな所まで……?」
アンドロイドは音羽の首に細い腕を伸ばし、自ら口づけた。
「……何を泣く?」
アンドロイドの頬が濡れているのを認め、聞いてみた。
「梱包の中と、外気温が違いましたので…結露いたしました。動作環境に、何の影響もございません。」
「結露……そうか。泣かせてしまったのかと思った。」
音羽はアンドロイドを引き寄せると、何の疑問も抱かず指の先で涙(結露)を払ってやった。
独身なので経験はないが、結婚式の時、神父の前で読み上げるような気恥しい契約が済み、取りあえず同梱されている付属品を取りだし並べた。
アールヌーボー様式の金色の百合の飾りがおしゃれな箱には、スペシャルプレミアムセットと書いてある。
「これは、何だろう?」
「就寝用のアイテムです。色は三種類ご用意してありますのでお好みのものを身に付けますのでおっしゃってください。睡眠は必要ありませんが、ご主人さまがお休みになる時は自動でスリープモードに致します。お許しいただけるのでしたら、お傍で共に眠ります。」
スペシャルプレミアムセットの中身は、オーガンジー(スケスケ)のネグリジェだった……。
指先で摘み上げたそれは、きっと松原でなびいていた天女の羽衣だ……じゃなく。
「セクスドールは必要じゃないと言ったはずだが、そういった機能もあるのか?」
「いいえ。残念なが……わたしは、お手伝いロボットですから、添い寝モードのみです。それ以上の機能を追加したければ、本社にディスクの追加をお願いします。こちらのプレミアムセットは、ミニのベビードール風のネグリジェと付属のTバックです。全開式のひもパンティは七色揃っていますが、ご主人さまはどれを穿かせてくださいますか?秋月博士はお前は色が白いから、どの色も映えるねとおっしゃいました。わたしには良くわかりませんが、参考までにお伝えしておきます。ちなみに社内でカタログ用の撮影会がありまして、脱がせやすいと皆さまに好評だったのはこちらの……。」
「……。」
音羽はくるりと背を向けた。
聞こえないふり、聞こえないふり。
すっぽんぽんのシミ一つない美肌のアンドロイドが、艶めかしく足をひらいて股間にエロ下着を当てて、いかがですかと見せた。足を開けば丸見えぱんつって、いっそ穿かなくてもいいんじゃね?
まじ、鼻血噴くわ……。こいつと、一つ寝台で眠るなんて…拷問かよ。
くそ~……。
「兄貴のばか……。」
(〃^∇^)o彡T←AU:[Tバック~]
( *`ω´) 音羽:「 み、見ないふり……」
拍手もポチもありがとうございます。
感想、コメントもお待ちしております。
ランキングに参加していますので、よろしくお願いします。 此花咲耶
- 関連記事
-
- 最愛アンドロイドAU 15 (2011/10/03)
- 最愛アンドロイドAU 14 (2011/10/02)
- 最愛アンドロイドAU 13 (2011/10/01)
- 最愛アンドロイドAU 12 (2011/09/30)
- 最愛アンドロイドAU 11 (2011/09/29)
- 最愛アンドロイドAU 10 (2011/09/28)
- 最愛アンドロイドAU 9 (2011/09/27)
- 最愛アンドロイドAU 8 (2011/09/26)
- 最愛アンドロイドAU 7 (2011/09/25)
- 最愛アンドロイドAU 6 (2011/09/24)
- 最愛アンドロイドAU 5 (2011/09/23)
- 最愛アンドロイドAU 4 (2011/09/22)
- 最愛アンドロイドAU 3 (2011/09/21)
- 最愛アンドロイドAU 2 (2011/09/20)
- 最愛アンドロイドAU 1 (2011/09/19)