最愛アンドロイドAU 4
音羽の持つ、分厚いマニュアルに書かれた「重要項目」はいくつもあった。
名前を呼んで仲良くなってくると、出来る事が増えて、言葉と表情も豊富になるらしい。育成ゲームの高度な奴みたいなものだろうか。
アンドロイドが何らかのトラブルで暴走したときには、機能を停止させるのだが、そのための方法の載ったページを読んで、音羽は脱力した。
抱きしめて耳元でささやく機能停止の万能の言葉。
「一通り動作確認するんだよな。これも一応、言わなきゃいけないのか?」
「はい。動作環境のテストですから。モニターのチェック用紙に項目があると思いますから、どうぞお願いします。」
「え…と。ぎゅっと抱きしめて……こうかな。『愛してる』……。」
ぱたり……。
まじでアンドロイドは、音羽の腕の中に倒れ込んで機能停止してしまい、音羽は何度目かの言葉を吐いた。
「兄貴のばか……。」
薄い胸に手を乗せる再起動を掛けて、繰り返された誓いの言葉に、アンドロイドは頬を染めて「イエス」と答えた。
レースの紐パンの悩ましいアンドロイドは青い瞳をじっと音羽に向けて、音羽の言葉を待っていた。恐ろしく良い眺めだけど、明日には何か着るものを買ってこないとうっかりいけない事をしてしまいそうだ。
ぱんつの中のおれの暴れん棒が爆発しそうになっていた。この全幅の信頼を向けるアンドロイドは、正直言うとおれの理想そのままの姿だった。
本気でセクス機能がなくてよかったと思う気持ちと、見栄を張らないで付けときゃよかったと言う本音が交錯する。これでセクス専門のラブドールだったら、さぞかし世界中で引っぱりだこだろう。
「アンドロイド。君に名前はあるのか?ほら、エヴァン○○オン初号機…ガン○ムユニコーンとかさ。できれば、名前で呼びたいんだが。」
「わたしの名前は「AU」 です。」
アンドロイドau…?それ、携帯ですけど……。
「哀しいほど機械的だな……AU、え~と、Aをローマ字読みして「あっちゃん」なんてどうかな。ほら、AK○48のセンターにいる子みたいな感じで。」
内心、ヴィーナスはどう?と言いたかったのだが、気恥しくて口に出来なかった。
あっちゃんて……。ネーミングセンス、皆無じゃないか。
「AK○48なら、トモちゃんがす……。いえ。では、あっくんとお呼びください。女性形態ではありませんので。」
アンドロイドは薄いベビードールを身に付けて、身をくねらせてはにかんだ。
ピンクのTバック……目のやり場に困るほど、可愛い。
「あっ…くん?それはまた、そぐわぬ感じだね。もう少ししゃれた名前でいいかなと思ったけど、その名を呼ぶのに何か理由はある?」
「わたしの開発に携わった方が付けてくださった名前です。おかしいですか?」
「いや。じゃあ、あっくんと呼ぶよ。…まあ、とにかく長旅で疲れ…はしないだろうけど、こっちが疲れた。休むとしよう。明日は手術が入ってるんだ。早く出かけるから、よろしく頼む。あっくん。」
「はい。起床時間は?」
「6時で頼む。」
「かしこまりました。」
実際、優秀な外科医の音羽には、明日は大きな手術が入っていた。
メインの執刀医ではないが、生体肝移植は未だに12時間以上はかかる難度の高い手術の一つだ。
体調を万全に整えて、睡眠不足で手元が狂ったなどと万に一つも許されなかった。
ピッツバーグの大学で、その道の権威に師事し経験を積んできた音羽の腕を、是非にと頼ってくる大学病院は多い。
成功率の高さは、経験と周到な適性検査のたまものだ。
音羽は、シャワーを浴びるとアンドロイドAUに「お休み」と声を掛け、就寝した。眠りは深く大抵の事では起きない音羽は、朝方ありえない爆音で起きることになる。
万能お手伝いロボットAUとの共同生活は、こうして始まった。
アンドロイドAUは大きな目を見開いて、長い間寝息を立てる新しい主人の顔を眺めていた。
「やっと、会えました……。」
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すけすけネグリジェを着た、アンドロイドAUもねむりこひめ画伯が描いてくださいました。
どこかねむちんの大好きなびゅ~てほ~なアンドレイくんにも似ている気がします。
さりげなく下肢に目が向くと、うっすらもっこリ……(*ノ▽ノ)キャ~~ッ!らぶりぃです!
アンドロイドAUががんばってパンツを脱ぐ場面を書きますので、もう少し待っててください。
(`・ω・´)音羽:「脱がせます!」←言い切った~!!
(〃^∇^)o彡T AU:「ねむちん、脱いだTバック~あげる~!」
うるうるの瞳で見上げる可愛い顔は、イメージ通りです。(*⌒▽⌒*)♪かわいい~~~~。
尚、イラストの版権はねむりこひめ様にありますので、お持ち帰りはご遠慮ください。金髪碧眼をこよなく愛するねむりこひめさんの素敵サイト「はちみつ工房」はこちらです。金髪碧眼のアレックスと黒髪ルシガの愛が溢れています。
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