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純情子連れ狼 番外編 【恋する双葉】 

あれから数か月たって、隼は送られてきた双葉の写真を眺めていた。

「可愛い~♡どれも可愛い~♡双葉ちゃん、すっごく可愛い、ねー、周二くん」

「……つか、何だよ、てんこもり送ってきた双葉の写真。みんなコスプレ写真じゃね~か。朱美の趣味か?」

「双葉ちゃんの一歳のお誕生日記念だって。ほら、ちゃんとカメラ目線で写ってるの。歩けるようになったんだよ。」

「これが可愛いか?赤ちゃん写真館って、スタジオア○ス?男だったら、タキシードとか、羽織袴とか着せるんじゃねぇのかよ。パンフに土俵入りの写真とかも有んだろ?これじゃ、どう見たって……」

「え……?」

隼はきょとんとした目を向けた。

「女の子がふりふりドレス着るのは、当たり前です。変な周二くん。」

周二は愕然として、ソファから滑り落ちた。

「あいつ、女……だったのか。ガキの癖に眼光鋭いし、眉は太いし、てっきり……」

「双葉ちゃんはママに似たんだよ。朱美さんって、きりりとした美人さんだもん。楽しみだね。ほらっ、朱美さんが携帯に動画も送ってくれたんだ。見る?お誕生日前から、歩きはじめたんだって。よちよち歩きが、すっごく可愛いの。」

動画の中の、一歳になった双葉が、両手を伸ばして言葉を発した。

「ちゅんちゃん~♡」

「きゃあ~♡双葉ちゃん~。ぼくの名前呼んだよ~~。」

朱美の声が双葉にかぶる。

『大好きな隼ちゃん、お元気ですか?双葉は今も隼ちゃんの事を覚えています。大きくなったら、お嫁さんにしてくださいね~。』

「……だって。」

「けっ……双葉が嫁に行く年頃には、隼はおっさんだっての。」

「……おっさん……?(´・ω・`) ……加齢臭なの?」

「Σ( ̄口 ̄*)はっ……!」

「周二くん…… (´;ω;`) 返答次第で、わたくし、里に帰らせていただきます~。」

「いや、そうじゃなくてっ!隼の場合は……そうだ、華麗臭!………じゃなくて、え~と……年を重ねたら、お、男くさいじゃなくて、苦み走った漢になってそうだな~と思って。」

「苦み走った漢……?」

「え~と……ほら、漢のなかの漢って言う感じの……菅原文太とか……いや、違うな……高倉健……でもない。ほら、ちよが隼の事、コメントでかっこよかったって言ってただろ?おっとこ前だって。」

「うん……うれしかった。」

「後な、え~と……けいったんとnichikaの言ってた、あれだ。親の血を引く兄弟よりも~♪……」

「……さぶちゃん?」

「そう。あれって、隼のBGMにぴったりじゃね?」

「周二くん~!ぼく、さぶちゃん好き~(*⌒▽⌒*)♪」

「だ、だろ?そうだと思ったんだよ。漢には漢の音楽が必要だもんな。隼のテーマソングはさぶちゃんだな。」

「うんっ。」

ふ~……

周二は何とかごまかせた。
今度から、機嫌を取る時は「さぶちゃん」で何とかなりそうだ。
それにしても……と周二は思う。テレビでも良く見るモデルによく似た面差しの隼が、目指す漢の定義が今一つ解らない。
そのうち、通信空手で黒帯にでもなったら(なるかどうかもわからないけど)熊を倒す武者修行なんぞに出発するとか言いだすかもしれない。
双葉の動画を送ってもらったお返しに、さぶちゃんのBGMをバックに6級になった空手の腕前を披露して送ると言うのを、さすがに周二は止めた。

「隼。漢はな、少しくらい強くなったからって、簡単に腕前なんか披露するもんじゃないんだ。能ある鷹は爪を隠すっていうだろ?強さは誇示しない方がかっこいいぞ。ここぞと言う時まで、空手は封印だ。」

「そっか……能ある猫は、普段は爪を出さないもんね。誰かと喧嘩をしても、空手やってると、手足が凶器扱いになるそうだし。封印する!(`・ω・´)」

さすがに瓦なんぞ割ったら、お前の拳が割れるだろとは言えなかった。

……つか、能ある猫ってなに?

*****

いまだ病床に居る英龍水は、愛する妻子に柔らかな眼差しを注いでいた。
鉄砲玉の張の使った銃が、散弾銃ではなかったのが幸いして、数発食らっただけで済んだ。全て急所を外れていたのは、張のささやかな抵抗だったろうか。

視線に微笑みを返した妻は、籍を入れて名実ともに墨花会組長の妻の座についた。
自信にあふれた身重の妻は、傍らに寄った。

「龍水。何考えてるの?」

「今頃、大門は親父に叱られてるだろうな……って思ってな。」

「どうかしら。龍水が腹をくくって跡目を継いだのはおめぇの御蔭だって、褒めているかもしれないわよ。」

「そうだなぁ。親父は一度身内にしたやつは、何をやらかしてもとことん信じてたからなぁ。しっかり者のお袋が居たから、墨花会はここまで来たようなもんだって、しょっちゅう叔父貴たちが言ってる。尾張名古屋は城で持ち、墨花会は姐(あね)で持ってるんだと。」

「お父さんにはお母さんがいたように、龍水にはあたしがいるわ。」

「そうだな。やっと手に入れた俺の恋女房だ。朱美には色々迷惑かけた。双葉にも無理をさせたな。」

「双葉は強い子になるわよ。来年には弟か妹が生まれるしね。それに、恋を知った女は最強なのよ。」

「恋?おいおい、双葉は一歳になったばかりだぞ。」

テレビ画面に映ったあるCMを見て、双葉がダッシュした。

「ちゅんちゃん~♡」

「ほら。隼ちゃんって、この子に似てるのよ。」

「ああ、子連れ狼の隼ちゃんか。双葉の命の恩人だな。」

「ちゅんちゃん~♡」

「双葉。ね~、パパにもちゅうしてあげてよ。待ってるよ。」

「や。ちゅんちゃん~♡ちゅう~。」

が~ん……

「仕方ないわね~。双葉はママに似て面食いだものね。パパみたいな大人の男の良さは、大きくなってからわかればいいわ。」

「ちゅんちゃん~♡」

数万人をまとめる墨花会のトップが、愛娘に拒絶されてまじでへこみ、その様子を眺める朱美は手繰り寄せた幸せをかみしめていた。

大人げない周二が、幼児を相手に本気で切れるのもそう遠くない。


双葉1





「あとがき」

本日もお読みいただきありがとうございました。(〃゚∇゚〃)
一歳になった双葉ちゃんを抱っこしている隼ちゃんです。
周二の小さなころにそっくりという設定の双葉ちゃんなので、想像してみてください。 ヾ(〃^∇^)ノ

このシリーズの作品はたくさんあって、初めて書いたBL作品でもあり、此花もとても思い入れがあります。
当時、周囲にエチ場面が書けないという話をしましたら、いっそ何もないまま進んでゆくのもいいかもしれない……とアドバイスをいただき、そのままです。(`・ω・´)←堂々。

ちっとは成長しろよ~!■━⊂( ・∀・) 彡 ガッ☆`Д´)ノきゃあ~

双葉ちゃんには来年になったら弟が生まれます。
双葉ちゃんが、実は女の子だったなんて、BLにはらしからぬ展開になってしまいましたので、すこしだけ含みを持たせています。うふふ~ ヾ(〃^∇^)ノ
たくさんの拍手、コメントありがとうございました。とても励みになりました。
また、新しいお話でお目にかかりたいと思います。またね。

※コメントくださった方々に、感謝の意味を込めました。勝手にお名前使わせていただきました。

「なんで、お前泣いてるの?」(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚+「周二くんが、お名前呼び捨てにしちゃってごめんなさい……。」

                             此花咲耶



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6 Comments

此花咲耶  

けいったんさま

> 此花さま、光栄です。ヾ(@^▽^@)ノ ァリガトゥー

無断出演させてしまいました。すまぬ~ ヾ(〃^∇^)ノギャラ無しでっす~

> それはそうと、双葉ちゃん!
> 力強い眼差しに キリリとした眉の双葉ちゃんは、女の子だったと、
> 最後の最後に 衝撃の事実をぶっ込みましたね、此花さまぁ~ァハハ・・('∀';)

(´・ω・`) なんかね……後から考えたら、BLだったら王道は男だったかも……最初っから、おにゃのこ設定だったのでした。かっこいい女子も好き~ ヾ(〃^∇^)ノ←ここらへんが駄目かも~

> あっでも やっぱり 美少女に成長した双葉ちゃんが、隼に会いに来そう!
> そして 「私と結婚して 墨花会の次期組長になって~(^з^) チュウ~♡」と 迫ってくる予感が…( ̄∀ ̄)。o 0

生まれてくる弟と、奪い合うのもいいかもしれません。周二はどんどん可哀想な感じに……(*/∇\*) キャ~
( *`ω´) 「殺すっ!」

> まぁ それまでには 幾ら何でも 隼と周二は、身も心も しっかり結ばれているでしょう!
> その日を楽しみに してま~す。
> それは…♪~<(’ε ’:)> ヾ(・ω・* ) ネェネェ、このちん その日って いつ?...byebye☆

(°∇°;) え……えっと~…… ヾ(〃^∇^)ノ逃亡~
えっと、そのうち……来るといいなっ。

コメントありがとうございました。うれしかったです。(〃▽〃)

2013/10/18 (Fri) 21:05 | REPLY |   

此花咲耶  

ちよさま

> 連載完結お疲れ様でした!!

ありがとうございます。終りました~ ヾ(〃^∇^)ノ

> 墨花組の抗争も無事完結し、
> 穏やかな日常が訪れて何よりです。

> そして、沢木パパに引き続き、
> 今回は、周二くんに似た鋭いまなざしの
> 双葉ちゃんが登場~♪

893ものは、あちこちで書かれているのを見かけますが、忙しくてあまり他の方の作品を読む時間が取れないので、どうなんだろうと思いながら 書いていました。
此花の想像の中に出てくる893さんは、どちらかというと古い時代の任侠物だったりします。
(〃▽〃)歳がばれる~

> 周二くんと隼ちゃん。
> 相変わらずエチに発展できず
> 悶々としている周二くんには
> 申し訳ないけれど、
> 周りの人にお邪魔されなながらも
> 絆を深めていくお二人さんを見ているのが
> 毎回楽しいです。

いっそ、一線超えちゃおうかなぁ……と、毎回思うのですが、いつもこんな感じです。うふふ~
楽しんでもらえてうれしいです。(〃゚∇゚〃)

> 番外編にもちょびっと登場させて頂き、感激~!! (♡˙︶˙♡)

こちらこそ、いつもコメントありがとうございます。勝手にお名前使った上に、呼び捨てですみません。

> ステキなお話をありがとうございました!!

お読みいただきありがとうございます。
コメントありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

2013/10/18 (Fri) 20:52 | REPLY |   

此花咲耶  

nichika さま

> 双葉ちゃん 女子だったのですか!

眼光鋭い野獣に似た女子です。(〃゚∇゚〃) でも、周二と従姉弟の朱美はきりりとした壇蜜のイメージ設定ですので、美人になるはずです。←想像でお願いします~ 

そして けいったんさまが登場するとは思ってましたが
> まさか!登場 ギャ==興奮して コメきえてました

コメントいただいて、とてもうれしかったのです。驚ろかせてしまって、ごめんなさい。
うふふ~ ヾ(〃^∇^)ノ

> また きますね あっしは( ̄● ̄) 喜び タケコプター夢の世界へmmm

コメントありがとうございました。うれしかったです。(〃゚∇゚〃)

2013/10/18 (Fri) 20:42 | REPLY |   

けいったん  

特別出演させて貰いました!ペコ┏○"

此花さま、光栄です。ヾ(@^▽^@)ノ ァリガトゥー

それはそうと、双葉ちゃん!
力強い眼差しに キリリとした眉の双葉ちゃんは、女の子だったと、
最後の最後に 衝撃の事実をぶっ込みましたね、此花さまぁ~ァハハ・・('∀';)

あっでも やっぱり 美少女に成長した双葉ちゃんが、隼に会いに来そう!
そして 「私と結婚して 墨花会の次期組長になって~(^з^) チュウ~♡」と 迫ってくる予感が…( ̄∀ ̄)。o 0

まぁ それまでには 幾ら何でも 隼と周二は、身も心も しっかり結ばれているでしょう!
その日を楽しみに してま~す。
それは…♪~<(’ε ’:)> ヾ(・ω・* ) ネェネェ、このちん その日って いつ?...byebye☆



2013/10/18 (Fri) 14:42 | REPLY |   

ちよ  

連載完結お疲れ様でした!!

墨花組の抗争も無事完結し、
穏やかな日常が訪れて何よりです。

そして、沢木パパに引き続き、
今回は、周二くんに似た鋭いまなざしの
双葉ちゃんが登場~♪

周二くんと隼ちゃん。
相変わらずエチに発展できず
悶々としている周二くんには
申し訳ないけれど、
周りの人にお邪魔されなながらも
絆を深めていくお二人さんを見ているのが
毎回楽しいです。

番外編にもちょびっと登場させて頂き、感激~!! (♡˙︶˙♡)

ステキなお話をありがとうございました!!

2013/10/18 (Fri) 06:48 | EDIT | REPLY |   

nichika  

ビックリ!

双葉ちゃん 女子だったのですか! そして けいったんさまが登場するとは思ってましたが
まさか!登場 ギャ==興奮して コメきえてました
また きますね あっしは( ̄● ̄) 喜び タケコプター夢の世界へmmm

2013/10/17 (Thu) 23:11 | EDIT | REPLY |   

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