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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・17 

「みぃくん。」

「・・・パパ?」

「ただいま、みぃくん。」

出会ったときと同じように、素肌に大人のシャツをまとってくしゅっと洟をすすった。
ずっと、ここで俺を待っていたのか?
足元も、やっぱり裸足だった。

「風邪引いちゃうぞ。ほら、おいで。」

ふわりと掬って抱き上げて、懐かしい柔らかい子どもの匂いに酔った。

「だっこ・・・?」

「パパ。きゃあ。」

細い腕が、頭の傷を避けて首にかき付いた。

「金髪のおじさんは、お部屋かな?」

「うん。えっちのお仕事。里奈ちゃんと。」

エレベーターが止まると同時に、みぃくんは腕からするりと抜けて駆け出し、隣の部屋を扉を開けた。

「あ・・・んっ・・・ああん・・・っ・・・」

予期した、安っぽい下卑た喘ぎが、ドアの向こうから聞こえてくる。
今日も又、えっちのお仕事は全開で撮影中と言うことだ。
金髪は真剣な目で、カメラを覗き込んでいた。
静かに覗くと、とても高校生には見えないセーラー服の若い女が、小太りの男優に背後からきつく巨乳を揉まれていた。
どうやら、家出高校生を騙して連れ込んで強姦するという設定のようだった。

「お嬢ちゃん、大人を馬鹿にして、今更逃げ出そうなんて駄目だよ。」

「は・・・なして、はなしてっ!」

口ではそういってるが、その手は胸を揉む手にかかっていた。

「里奈ちゃん。視線こっち向けて、ブラジャー半分浮かせて外して。」

「そう、片乳ね。脇から寄せて見せて。」

指示通りに女優は、カメラに向かって開いた唇を舐めた。
中心線が彎曲して、腰から上がカメラに向かってのけぞった。

「可愛いねぇ・・里奈ちゃん。ほら、じっとしていないで圭さんのあそこ大きくしてあげて。」

「うんと、優しくしてあげてね。」

言われるままに、里奈と呼ばれた女は、男の足の間に躊躇せず顔を埋める。
カメラが喉元へと入り、怒張した男のものを頬張る女優の口許をアップにする。
んっく・・・んっく・・・と、喉奥を鳴らす声が漏れた。
男を飲み込んだ頭を、がくがくと揺すられた。
まるで手馴れたマニュアルどおりだ。

後半は、彼女を食い物にする大勢の男達が乱入する。
いや、いやと逃げ惑う彼女に数人の男が覆いかぶさった。

「静かにしろ、もう逃げられないんだよ。」

「いや~っ!」

そういう芝居だと分かっていても、悲鳴は聞いていて気持ちのいいものじゃない。
池の鯉たちが投げ込まれた餌に群がる様子のようだ。
男達からの白濁を、しとどに全身で受けて、カメラは止まった。

こちらを向く女の顔は、騙され陵辱されてこのまま落ちてゆくしかない泣き濡れた少女の顔に見える。
扇情的で哀れな高校生を演じていたのは、もうすぐ27歳になる売れない声優志望の女の子だった。




いやはや・・・
こんな展開になるとは。
想像の世界なんですけど・・いろいろあります。此花

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