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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・19 

少し性表現有りです、苦手な方はご注意下さい。


俺は、何も分からず感情で怒鳴った自分に、赤面した。
みぃくんが過ごす場所には、いつも女の乳房がそこにあった。
みぃくんにとって、女の胸に触れるのは、眠る前に必要な儀式で、自然な仕草だったのかもしれない。
いつも「えっちのお仕事」が終わらないと、みぃくんは金髪のおじさんにご飯が貰えなかった。
おなかが空いても、みぃくんが「お仕事」をがんばらないと、ママの病院代が払えないだろうと言って、よってたかってカメラマンが泣かせた。

「ほら、みぃ。泣いたままこっち向いて。」

「可愛いおちんちん、こっち向けて。」

そんなわけのわからない叱咤を受けて、みぃくんはたくさんの写真を撮られて来たのだ。
マニアに向けて、媚びた笑顔と濡れた頬を見せるのは、紛れもなく、小さなみぃくんの大切な「えっちのお仕事」で、生活の一部だった。
そして、がんばったご褒美にみぃくんは、「えっちのお仕事」の後は、うんと褒められて抱きしめられる。
だからこの子は、だっこが好きだ。
人は、誰かに求められ、必要とされなければ生きてゆけない。

俺は、誰よりも知っているはずじゃなかったのか。
どうしようもない自己嫌悪に苛まれて、俺は大きなため息をつく。

「ちゃんと、父親になれるかなぁ、俺。」

「よくよく考えると、子育てなんて妻に丸投げで、子どもと向き合ったこともなかった気がする・・・」

側には泣き疲れた、みぃくんが小さなヤマネのように丸くなって眠っていた。

「ごめんなぁ、みぃくん・・・パパが悪かった。」

可哀想にみぃくんは、あれからずっと、涙と嗚咽が止まらなかった。
お菓子をくれて、みぃくんのパパになりたい、といった優しいおじさんが、何も悪いこともしていないぼくを、いきなり怒鳴りつけたと、思ったのだろう。
理不尽な俺に抗するように、みぃくんは傷ついて、長い間、身体をふるふると震わせて泣いていた。

「でも・・・ほんとの事を言うとね、俺もね、こんな仕事させてしまって、みぃに悪かったとは思ってるんすよ。」

傷になるんじゃないかってねと、金髪が打ち明けた。
一度、ふざけて撮ったみぃくんの写真を、知り合いの好事家に見せたら、ツボにどんぴしゃだったらしい。
あっという間に、金に糸目はつけないから、色々な写真を撮ってくれと言う話になったらしい。

「さすがに、考えさせてくれと言って、一度は断ったんすよ。」

借金を抱えていた上に、丁度、会社の資金繰りに窮していたところに、思わぬ大金をぶら下げれて、つい、なびいてしまったと金髪は頭をかいた。

「目先の欲に、転んじまったんすよ。何せ、こちとら煩悩の塊みたいな輩を相手にしている、因果な商売ですからね。」

「これ以上続けたら、どんどん中身はスカトロだのSMに、エスカレートしてゆくとわかっていたし。」

「何より、海外のすごい熱烈な顧客が、みぃにハードなのを求め始めていたしね。」

「みぃみたいに、穢れなく可愛いのを弄りたい、汚したいって欲求は、全世界共通みたいっすよ。」

「だから、ちょうど今が潮時ってことすね。」

柔らかい髪に、くるくると指を弄らせた。





えっちのお仕事も色々です。
想像の世界なので、チャイルドポルノではありません。
美しい小児の写真の世界は、実写版の妖精のつもりです。
お読みいただきありがとうございます。
ランキングがほんの少し上がって、驚きました。
うれしいです。  

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