小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・18
「はい、カットー。」
「里奈ちゃん、お疲れさま。休憩ね。」
金髪が、女優にお絞りを渡した。
「可愛い声で熱演だったね~、成瀬さん、疼いちゃったよ。」
「や~ん、成瀬さんったら。」
先ほどまでの、狂態が嘘のように見えるほど、女優は清々しい顔をしていた。
「実は、彼女の方が圭さんよりも、芸歴長かったりするんすよ。」
「ロリータからやってるから、結構長いよ、あたし。」
うふふっと、こちらに笑顔を向けて、なまめかしく笑う。
いつの間にか、女優の膝の上に乗った海広が、里奈の乳房をさわさわと撫で上げていた。
「里奈ちゃん。みぃくん、おっぱいにちゅっ・・・・していい?」
「いいよ、みぃくん、里奈のおっぱい好きだもんね。」
そっと小さな手を伸ばして胸に触れようとしたとき、つい俺は怒鳴ってしまった。
「みぃくん!何やってるの!」
「駄目だろ?もう、えっちのお仕事止めるんだろ?」
「・・・ふぇ・・パパ、怒っちゃ、や・・・。」
海広はびくっと驚いて、ふるふると肩を震わせると、うつむいて泣き始めた。
俺の怒りの説明もつかない。
真っ当に育て直さなければとでも言うような、妙な正義感に支配されていたとでも言うのだろうか。
女優の胸に伸ばす手馴れた仕草が、何故だか妙に腹立たしくて、怒鳴ってしまったのだ。
海広は、俺の怒声に怯えて、里奈の身体を巻いたシーツの端に顔を埋めた。
「ふ・・・ふぇっ・・・」
「あぁ・・・ああん・・・」
金髪が、ぽんぽんとなだめるように、泣き咽ぶみぃくんの頭を何度か撫でた。
「松原さん。あんたね、みぃの年いくつだと思ってんの?」
責める視線をよこしてきた。
「確かに、みぃには、よくない仕事をさせてきたけど、今のは全部あんたが悪いよ。」
「みぃの年じゃ、まだ、ママのおっぱい触りながら眠ってもおかしくないはずだろ?」
「あ・・・。」
情けないことに、そこで俺はやっと気が付いたのだ。
この子がまさぐったのは、女優の胸ではなく、側にいない母親の乳房だった。
「ああ、そうだったのか・・・」
育った環境がどうあれ、海広は就学前の幼い子どもだったのだ。
求められるままに見せる痴態も、例えば、右を向けといわれたら右を向くというものだ。
俺の持っている常識で考えれば、世間から外れている行為でも、幼い海広が恥ずかしいと思うわけなどなかった。
パパに叱られて、涙ぐむみぃくんに愛を下さい。愛にも、いろいろあるものです。
ss(短編)もお読みいただきありがとうございます。 此花
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金髪が、女優にお絞りを渡した。
「可愛い声で熱演だったね~、成瀬さん、疼いちゃったよ。」
「や~ん、成瀬さんったら。」
先ほどまでの、狂態が嘘のように見えるほど、女優は清々しい顔をしていた。
「実は、彼女の方が圭さんよりも、芸歴長かったりするんすよ。」
「ロリータからやってるから、結構長いよ、あたし。」
うふふっと、こちらに笑顔を向けて、なまめかしく笑う。
いつの間にか、女優の膝の上に乗った海広が、里奈の乳房をさわさわと撫で上げていた。
「里奈ちゃん。みぃくん、おっぱいにちゅっ・・・・していい?」
「いいよ、みぃくん、里奈のおっぱい好きだもんね。」
そっと小さな手を伸ばして胸に触れようとしたとき、つい俺は怒鳴ってしまった。
「みぃくん!何やってるの!」
「駄目だろ?もう、えっちのお仕事止めるんだろ?」
「・・・ふぇ・・パパ、怒っちゃ、や・・・。」
海広はびくっと驚いて、ふるふると肩を震わせると、うつむいて泣き始めた。
俺の怒りの説明もつかない。
真っ当に育て直さなければとでも言うような、妙な正義感に支配されていたとでも言うのだろうか。
女優の胸に伸ばす手馴れた仕草が、何故だか妙に腹立たしくて、怒鳴ってしまったのだ。
海広は、俺の怒声に怯えて、里奈の身体を巻いたシーツの端に顔を埋めた。
「ふ・・・ふぇっ・・・」
「あぁ・・・ああん・・・」
金髪が、ぽんぽんとなだめるように、泣き咽ぶみぃくんの頭を何度か撫でた。
「松原さん。あんたね、みぃの年いくつだと思ってんの?」
責める視線をよこしてきた。
「確かに、みぃには、よくない仕事をさせてきたけど、今のは全部あんたが悪いよ。」
「みぃの年じゃ、まだ、ママのおっぱい触りながら眠ってもおかしくないはずだろ?」
「あ・・・。」
情けないことに、そこで俺はやっと気が付いたのだ。
この子がまさぐったのは、女優の胸ではなく、側にいない母親の乳房だった。
「ああ、そうだったのか・・・」
育った環境がどうあれ、海広は就学前の幼い子どもだったのだ。
求められるままに見せる痴態も、例えば、右を向けといわれたら右を向くというものだ。
俺の持っている常識で考えれば、世間から外れている行為でも、幼い海広が恥ずかしいと思うわけなどなかった。
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