小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・83
いいなぁ・・・ちっちゃいけど、ユリアちゃん女の子のおっぱいあるんだ。
「みぃちゃんも今はつるつるだけど、すね毛が濃いくなってからじゃ、遅いよ。」
「早く始めないと。」
ぼく、そんなこと何も考えたことなかった・・・と、言ったらユリアちゃんが驚いてた。
「あのね、みぃちゃん。たまたまだけでも取っといた方がいいよ。たまたまって男性ホルモン、がんがん作るところだから。」
ユリアちゃんはふんわり笑いながら、結構、衝撃的なことを色々教えてくれた。
無知なぼくは、聞くしかなかった。
「ほら、これがピル。」
普通の小さな錠剤のお薬が28個、シートに並んでいるのを見せてくれた。
「一度、飲んでみる?」
「う・・・ん。えっと・・・、後で飲むね。」
今すぐ飲む勇気がなかったけど、一応貰って置くことにした。
3000円くらいで一月分、ネットで買えるからねって教えてもらった。
そういえば、性教育をぼくはまともに受けてこなかった。
たまたまを取っちゃう手術費用は、ユリアちゃんのときで15万円くらいだって。
子どものときからためたお年玉で、住んでいるところとは離れた田舎の町で手術したんだそうだ。
ぼくは、ユリアちゃんみたいに勇気を出して、生きられるだろうか。
自分の子供を持つことも諦めて、戸籍も変えてパパの娘になる・・・?
本物の女の子になると決心して、着々と準備をするユリアちゃんに、ぼくはちょっと戸惑っていた。
ぼくの内側の白いワンピースの女の子は、本物のオンナノコなんだろうか。
ぼくはパパの・・・息子?
それとも、娘?
「ぼくはね、小さなころおちんちんがポロリと取れて、おっぱいが生えてくると思ってたんだよ。」
「だから、毎日お風呂場で引っ張ってみたりしたけど、大きくなるだけで取れなかった。」
ユリアちゃんは、「みぃちゃんって、可愛い。」と言って、くすくすと笑った。
きっと何も知らないことを笑われたんだと思って、ちょっと悔しかった。
一見した限りでは、同じように二人とも女の子に見えるみたいだけど、ユリアちゃんの本気にはぼくは到底叶わない。
たまたまの手術跡も見せてもらったけど、裏っかわにほんの少しの線が走っているだけだった。
「痛かった?」
思わず聞いたら、これまで男の子で暮らしてきた毎日に比べたら心が軽くなって、痛みは平気だったって。
家に帰ったら、ぼくは洸兄ちゃんに相談してみようと思った。
お医者様の卵なら、いろいろなことを知っているはずだから。
それに、洸兄ちゃんならすごく優しいから何を聞いても大丈夫。
女の子になりたいといって、散々パパを困らせたくせに現実に方法が分かってくると、悩むなんて本当に優柔不断で嫌になる。
「あのね、洸兄ちゃん。これ貰ったの・・・」
差し出したピルのシートに、洸兄ちゃんは絶句した。
「これ、みぃが飲むつもりなの?」
「ん・・・」(本当は、まだ決心がつかないけど・・・)
しばらくの沈黙のあと、ってことは、やっぱり本気なのかとつぶやいた。
洸兄ちゃんは、変わらずいつも優しい。
「じゃあ、みぃに一度、エストロゲンの副作用について話しておこうかな。」
洸兄ちゃんは、ずっと前からいつかぼくがオンナノコになる方法を聞きに来るだろうと思っていたそうだ。
「一応の勉強はしてきたから、何でも聞いて良いよ、みぃ。」
まずね、と洸兄ちゃんは話し始めた。
「睾丸摘出手術を受ける前に、何度か投与するエストロゲンと言う女性ホルモンがあるんだよ。
それは、元からある生殖能力を低下させるんだ。」
止めたくなっても、後戻りできないので、そこは後悔しないようにきちんと考えた方がいいと、洸兄ちゃんは教えてくれた。
「みぃのように生まれつき身体が男性の場合はね、二週間に一度女性ホルモンを投与する。
お薬で、精巣の働きを抑えてしまうんだよ。」
「勿論、もう子どもも持てない。無理に女性になるのだから体の不調も、ずっと続くと考えた方がいい。」
「症状は女性だったら、更年期障害に似ているらしいよ。
生理が終わるころ精神的な不調を訴えたりするんだけど、ずっとその状態は続くんだ。
作られたうつ状態って言うのかな。」
洸兄ちゃんの話は、余り愉快な話じゃなかった。
正直ぼくは最後の方は、お話を聞きながら、不安が迫ってきて涙目になっていた。
医学的な話は、現実問題として迫ってきます。
嘘のない厳しい現実が、みぃくんを襲います。
大丈夫かな・・・ 此花
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「みぃちゃんも今はつるつるだけど、すね毛が濃いくなってからじゃ、遅いよ。」
「早く始めないと。」
ぼく、そんなこと何も考えたことなかった・・・と、言ったらユリアちゃんが驚いてた。
「あのね、みぃちゃん。たまたまだけでも取っといた方がいいよ。たまたまって男性ホルモン、がんがん作るところだから。」
ユリアちゃんはふんわり笑いながら、結構、衝撃的なことを色々教えてくれた。
無知なぼくは、聞くしかなかった。
「ほら、これがピル。」
普通の小さな錠剤のお薬が28個、シートに並んでいるのを見せてくれた。
「一度、飲んでみる?」
「う・・・ん。えっと・・・、後で飲むね。」
今すぐ飲む勇気がなかったけど、一応貰って置くことにした。
3000円くらいで一月分、ネットで買えるからねって教えてもらった。
そういえば、性教育をぼくはまともに受けてこなかった。
たまたまを取っちゃう手術費用は、ユリアちゃんのときで15万円くらいだって。
子どものときからためたお年玉で、住んでいるところとは離れた田舎の町で手術したんだそうだ。
ぼくは、ユリアちゃんみたいに勇気を出して、生きられるだろうか。
自分の子供を持つことも諦めて、戸籍も変えてパパの娘になる・・・?
本物の女の子になると決心して、着々と準備をするユリアちゃんに、ぼくはちょっと戸惑っていた。
ぼくの内側の白いワンピースの女の子は、本物のオンナノコなんだろうか。
ぼくはパパの・・・息子?
それとも、娘?
「ぼくはね、小さなころおちんちんがポロリと取れて、おっぱいが生えてくると思ってたんだよ。」
「だから、毎日お風呂場で引っ張ってみたりしたけど、大きくなるだけで取れなかった。」
ユリアちゃんは、「みぃちゃんって、可愛い。」と言って、くすくすと笑った。
きっと何も知らないことを笑われたんだと思って、ちょっと悔しかった。
一見した限りでは、同じように二人とも女の子に見えるみたいだけど、ユリアちゃんの本気にはぼくは到底叶わない。
たまたまの手術跡も見せてもらったけど、裏っかわにほんの少しの線が走っているだけだった。
「痛かった?」
思わず聞いたら、これまで男の子で暮らしてきた毎日に比べたら心が軽くなって、痛みは平気だったって。
家に帰ったら、ぼくは洸兄ちゃんに相談してみようと思った。
お医者様の卵なら、いろいろなことを知っているはずだから。
それに、洸兄ちゃんならすごく優しいから何を聞いても大丈夫。
女の子になりたいといって、散々パパを困らせたくせに現実に方法が分かってくると、悩むなんて本当に優柔不断で嫌になる。
「あのね、洸兄ちゃん。これ貰ったの・・・」
差し出したピルのシートに、洸兄ちゃんは絶句した。
「これ、みぃが飲むつもりなの?」
「ん・・・」(本当は、まだ決心がつかないけど・・・)
しばらくの沈黙のあと、ってことは、やっぱり本気なのかとつぶやいた。
洸兄ちゃんは、変わらずいつも優しい。
「じゃあ、みぃに一度、エストロゲンの副作用について話しておこうかな。」
洸兄ちゃんは、ずっと前からいつかぼくがオンナノコになる方法を聞きに来るだろうと思っていたそうだ。
「一応の勉強はしてきたから、何でも聞いて良いよ、みぃ。」
まずね、と洸兄ちゃんは話し始めた。
「睾丸摘出手術を受ける前に、何度か投与するエストロゲンと言う女性ホルモンがあるんだよ。
それは、元からある生殖能力を低下させるんだ。」
止めたくなっても、後戻りできないので、そこは後悔しないようにきちんと考えた方がいいと、洸兄ちゃんは教えてくれた。
「みぃのように生まれつき身体が男性の場合はね、二週間に一度女性ホルモンを投与する。
お薬で、精巣の働きを抑えてしまうんだよ。」
「勿論、もう子どもも持てない。無理に女性になるのだから体の不調も、ずっと続くと考えた方がいい。」
「症状は女性だったら、更年期障害に似ているらしいよ。
生理が終わるころ精神的な不調を訴えたりするんだけど、ずっとその状態は続くんだ。
作られたうつ状態って言うのかな。」
洸兄ちゃんの話は、余り愉快な話じゃなかった。
正直ぼくは最後の方は、お話を聞きながら、不安が迫ってきて涙目になっていた。
医学的な話は、現実問題として迫ってきます。
嘘のない厳しい現実が、みぃくんを襲います。
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