【狂おしい秋・学園の狂騒・8】
松本が列に並び、間近で人形のような隼の姿を見て、小鼻を膨らませて興奮している。
「うっわ~、ねんね、超・可愛い~。」
周二はクラス代表のボディガードとして、仕方なく苦虫を噛み潰したような顔をしてそこに立っていた。
「護衛といっても文化祭なんだから、一応は君も制服じゃなくそれらしい恰好をしてくれるかな。」
生徒会長を睨みつけたが、一応向こうの言分がもっともなので、しぶしぶ流行の執事の恰好をしていた。
元々、モデル体型なので黙っている分には、雑誌から抜け出たようだった。
遠巻きにちらちらと女子が熟れた視線を送っていたが、さすがに「いらっしゃいませ、お嬢様」とは言わない。
「あ、松本さん?ぼく、変じゃない?おかしくない?みんな、いなくなってしまったの。」
「ねんね、あうっ!俺も、急にトイレに用事が~・・・」
「松本さん、今日もおトイレなの?おなか冷えちゃったの?」
「ねんね。今度から、めのほよう、その恰好にして。」
「顔で皮膚呼吸できない気がするから、やです。それに、ぼく漢(おとこ)ですからっ。(`・ω・´)きりっ!」←隼。
周二は呆れた。
赤ずきんちゃんに漢(おとこ)ですからって(`・ω・´)←こんな顔で言われても、可愛いだけだぞ、隼・・・。
それから、眠り姫の恰好に着替え、疲れ果てた隼は休憩に入ると憧れのラブシートで、文字通り眠り込んでしまった。
裏口から、粗大ごみの収集車が入ってきた。
作業着を着た彼等は、ラブシートの眠り姫をそっと抱え上げると、これもかな・・・と呟くと大きな箱に入れてしまった。
学園祭の余分な大道具、小道具、必要のない備品、毎年この時期に一掃することになっている。
美術室の割れたマルスの石膏像、家庭科室のわらの出たトルソー、そんなものと一緒に隼は持ち出されてしまったのだ。
気が付かない作業員もどうかしているが、不注意な彼には大きさから見て愛用の「恋するアキちゃん」と同じようなものだと思った。
何しろ、どう見ても人形にしか見えないのだから、仕方がない。
がらくたを入れた箱の行く先は・・・?
さすがに、荷台の振動に気が付いて軽トラックのがらくたの箱の中、隼は目を覚ました。
だが、眼鏡もコンタクトもないから、周囲の状況が分からない。
箱の中から、顔だけ覗かせると車がどこかに向かっているのだけは分かった。
「え~・・・?ここ、どこ?周二くん~・・・」
「何で、ぼくこんな所にいるの・・・?」
(´・ω・`)←どうやら隼ちゃん、すごく困った状況です。どうして、こんなことに?
方向音痴の上、視力が薄いので大変です。
王子さま~、早く来て。・・・
うっかり、お話が長くなってしまいました。一応、完尻(かんけつ)させようと思っています。
お読みいただきありがとうございます。 此花
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こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
(pioさま鼻血ぷぷっの美麗イラストお借りいたしました。ありがとうございました。きゅんきゅんの綺麗お子さまです~。おひめさまモードの隼ちゃん行方不明です。
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