沢木淳也・最後の日 10
真ん中に木本が腕によりを掛けた、豪華な弁当が並ぶ。隼の父親の三段弁当に引けを取らない料亭顔負けの手の込んだものだった。
「りんご、も~らいっ!」
「あ!ぼくのうさぎさん~!や~ん。」
「木庭。大人げない。沢木に返したまえ。君はそっちのみかんでも食べてなさい。」
「ちっ。」
うさぎりんごの争奪戦は、隼の勝利となった。
「うふふ~、ねぇ、会長。木本さんって、とってもお料理上手だね。うさぎの切り方も、上手~。」
「そりゃ、僕の充さんだもの、何だって完璧だよ。それに充さんは料理だけじゃなく……色々と、うふふ~。」
「きゃあ~、樋渡会長のろけてる~。」
「……けっ。色ボケばかっぷるが。」
全校生徒憧れの的、学校開闢以来の秀才と言われている優秀な生徒会長は、木本の年の離れた恋人だった。紆余曲折有って結ばれた二人は、今は周二も呆れるほどの甘々な恋人同士になっている。隼が木庭組に身を寄せている話は、既に木本から伝わって知っているらしかった。
「沢木。すまないけど、お茶のお代わりをくれるかな。」
「はい。行ってきます。」
給湯室に急須を持って走った隼を見やり、蒼太は口調を変えた。
「沢木さんからの連絡はまだないの?」
「……ない。何日も経つってのに……。広域捜査って、そんなものなのかな。隼が無理して元気そうにしてるから、きついな。あいつ、ずっとまともに寝てねぇんだよ。発作を起こすようなことはないけどな。」
周二は素直に打ち明けた。
「捜査って、そう言うものなんだろうね。おそらく身内にも一切極秘だろう。それに沢木は、子連れ大魔神のただ一つの泣き所らしいから、もし相手が沢木さんをよく知る人間なら、間違いなく其処をついて来ると思う。」
「俺がもし犯人でも、隼を狙うだろうからな。」
「残念ながら、沢木はそういう対象になるだろうね。子猫や鳩を切り刻むような奴は、次第に相手のランクを上げてくる。まして、今度の事件では警察官の子供が狙われているんだろう?」
「犯人をさっさとぶちのめして、くそ親父を心配する隼の気持ちを楽にしてやりたいけど、相手がわかっていないって言うのは、先手の打ちようがないからまじ腹立たしい。待ってるだけってのは、イライラする。」
「だからこそ、沢木さんは木庭に預けたんだよ。君なら沢木のことを一番に考えるから。きっと内心では、木庭を信頼していると思うよ。」
「くそ親父に頼まれなくても、俺は隼だけは本気で守るけどな。いざとなったら、刺し違えてやるさ。」
俺は手負いになっても、隼だけは守る。例え腕がもげようが、足が折れようが何度でも勃ちあが……あ、字が違った。立ち上がって、隼を傷つけようとする奴の前で隼を守る楯となるんだ。どこまでも清らかな隼を穢していいのは俺だけだ。
「周二くん。」
俺の名を呼ぶ清らかな隼を、きつく腕の中に抱きこんで、いつか身体中に俺の所有印代わりに赤い吸痕を散らしてやる。薄い乳首が赤く腫れて、潰れた苺の色になるまでしつこく舐めまわしてやる。
俺の腕の中で、お願いだからこれ以上焦らさないで。ここに、周二くんが欲しいの……と隼がおずおずと足を開き、甘くか細い声で啼くまで。
ピンクのエプロンをめくって桃色の尻を割ったら……隼の青い胡桃が、俺が触れるのを待って恥ずかしそうに震えている。
「痛くしないでね……」
「周二くんってば。」
「……は?もう~~、邪魔すんなよ、隼。今、いいところだったのに。」
「意味わかんないよ~。いいところってなに?あのね、面会したいって人が来てるみたい。ぼくに会議室に来なさいって放送が有ったんだけど、どうすればいい?」
周二と蒼太は、顔を見交わし蒼太は直ぐに携帯を取り上げた。
「注意して、木庭。ぼくから木本さんに連絡を入れておく。」
「ああ、頼む。何かあったらすぐに知らせる手はずだからな。」
周二の妄想も、なんか今一つみたいです。
(*´・ω・)(・ω・`*) 周二 「大丈夫なんかな、あいつ。」蒼太「うん、心配だね。」
/(=・x・=)\隼「漢(おとこ)なので、ぼくは泣かないの。」
本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃) 此花咲耶
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