純情子連れ狼 ６
どうやら大きい方をしたようで、おむつ替えの必要が有った。周二は渋々隼について、家に入った。
「パパ、ただいま～。」
「おう。何だ、荷物持ちも一緒に来たのか。」
「お……お邪魔しますっ。」
「招いてねぇし。食い物置いたら、とっとと帰れ。ご苦労だったな。」
「すんません……」
「パパに、こんにちはしようね。はい、はじめまして～双葉ちゃんです。おむつ換えます～。もう、おねむです～。」
「はい、こんにちは～。……って？説明しろ、野獣。何で、ここにお前そっくりのガキがいるんだ？」
「あの……えっと～……すみませんっ！俺の子供らしいっす。」
「はぁ～っ？」
「すみません！まじ、すみません！認めたくないけど、若さゆえの過ちみたいっす。」
周二は久し振りに、パパ沢木の前で深々と土下座をした。勿論、沢木は思いっきり蹴りと拳骨をくれてやるのを忘れる事はなかった。
鬼の形相になったパパ沢木に、周二は手短に経緯を説明したが、双葉が眠くなったようで隼にリビングに布団を運ぶから手を貸せと言われ、話は途中で挫折した。
「なぁ、野獣。赤ん坊は、何か月だ？いずれ認知するのか？」
「確か八か月って言ってました。このガキが、俺と朱美の子だったら認知……？認知ってしないと父親がいないことになるから、しないとやばいっすよね？八か月……？いや……ちょっと待てよ、八か月前って言ったら、俺はもう女とすっぱり手ぇ切って、禁欲生活に入ってるじゃねぇか。」
「あーーーーーっ！！朱美っ、あの野郎っ！似てるのを良いことに、俺をはめやがったな。」
「やかましいっ。近所迷惑だ。」
「もう～！周二くん、うるさい～！双葉ちゃんが起きちゃうじゃない。どうだっていいことは、後で。」
「あ……ごめん。」
余りにもっともな隼の意見に、周二は黙ってしまった。
確かに朱美がいないここで、何を言っても無駄な問答でしかない。
だが、何のために嘘をついてまで双葉を預けようとしたのか、理由がわからない。憤りを顔に浮かべた周二をなだめるように、隼はぽつりと口にした。眠った双葉は小さな手で、きゅと隼の指を握り込んでいた。
「周二くん……見て。今は双葉ちゃんが寂しくないようにしてあげないと。小さくても双葉ちゃんは、ママが自分の事置いて行ったって知ってるんだよ。起きてる時も、ぼくの服を握って離さないでしょう？きっととっても不安なんだよ。周二くんがパパかどうかなんて、今の双葉ちゃんには関係ない。そんなの大人の都合だもの。」
「こいつはまだ八か月だぞ？わかるわけないだろ？」
隼はきっぱりと言い切った。
「わかるよ。誰だって、自分の事を愛してくれる人の事は分かるよ。傍に愛してくれる人がいるから、子供は大きくなるんだよ。」
「そんなもんか？」
「そんなもんです。朱美さんが帰ってくるまで、ぼくは一生懸命守るよ、双葉ちゃんの事。預かったからには、責任があるもの。周二くんも、いい？双葉ちゃんには守ってくれる人が必要です。ぼくは、覚悟を決めました。二人で双葉ちゃんの事、うんと大切にしようね。双葉ちゃんのママが、泥船に乗った気持ちで安心していられるように。」
「お、おう。隼が覚悟を決めたんなら……つか。」
そこは大船じゃねぇのか、隼。お前、時々間違うけど、泥船だったら沈むんじゃねぇか…？…と言いたかったが、きりりとまなじりを上げて、双葉を守ると誓う凛々しい隼に周二は見惚れた。
促されて仕方なく周二も誓ったが、朱美に騙されたようで何となく腑に落ちない。しかし、二人が呼び出されたのが先代の妾の家と聞いて、沢木の方は何か理由があると考えたようだった。
「なるほどな。とりあえず、野獣にはややこしいことは言わない方が良いだろうと、あのばあさんなら考えるだろう。この通り、計算もできない大馬鹿だし。」
「……反論できないっす。」
「赤ん坊に危害が及ばないように、ある程度理解があって守れる程度には力の有る第三者が必要だったんだろうさ。関係があるかどうかわからないが、今日の夕方、関西系の暴力団が揉めてるってニュースが流れたぞ。墨花会と言ってたと思う。帰ったら木本にでも何が有ったか聞いてみろ。」
「墨花？」
墨花会と聞いて、周二は顔色を変えた。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。(〃ﾟ∇ﾟ〃)
(｀・ω・´)「泥船に乗ったつもりで、ど～んとまかせて！」
(°∇°;) 「え～と……」
やっぱり、パパ沢木に思いきりどつかれた周二です。あはは～ ヾ(〃^∇^)ﾉ
「パパ、ただいま～。」
「おう。何だ、荷物持ちも一緒に来たのか。」
「お……お邪魔しますっ。」
「招いてねぇし。食い物置いたら、とっとと帰れ。ご苦労だったな。」
「すんません……」
「パパに、こんにちはしようね。はい、はじめまして～双葉ちゃんです。おむつ換えます～。もう、おねむです～。」
「はい、こんにちは～。……って？説明しろ、野獣。何で、ここにお前そっくりのガキがいるんだ？」
「あの……えっと～……すみませんっ！俺の子供らしいっす。」
「はぁ～っ？」
「すみません！まじ、すみません！認めたくないけど、若さゆえの過ちみたいっす。」
周二は久し振りに、パパ沢木の前で深々と土下座をした。勿論、沢木は思いっきり蹴りと拳骨をくれてやるのを忘れる事はなかった。
鬼の形相になったパパ沢木に、周二は手短に経緯を説明したが、双葉が眠くなったようで隼にリビングに布団を運ぶから手を貸せと言われ、話は途中で挫折した。
「なぁ、野獣。赤ん坊は、何か月だ？いずれ認知するのか？」
「確か八か月って言ってました。このガキが、俺と朱美の子だったら認知……？認知ってしないと父親がいないことになるから、しないとやばいっすよね？八か月……？いや……ちょっと待てよ、八か月前って言ったら、俺はもう女とすっぱり手ぇ切って、禁欲生活に入ってるじゃねぇか。」
「あーーーーーっ！！朱美っ、あの野郎っ！似てるのを良いことに、俺をはめやがったな。」
「やかましいっ。近所迷惑だ。」
「もう～！周二くん、うるさい～！双葉ちゃんが起きちゃうじゃない。どうだっていいことは、後で。」
「あ……ごめん。」
余りにもっともな隼の意見に、周二は黙ってしまった。
確かに朱美がいないここで、何を言っても無駄な問答でしかない。
だが、何のために嘘をついてまで双葉を預けようとしたのか、理由がわからない。憤りを顔に浮かべた周二をなだめるように、隼はぽつりと口にした。眠った双葉は小さな手で、きゅと隼の指を握り込んでいた。
「周二くん……見て。今は双葉ちゃんが寂しくないようにしてあげないと。小さくても双葉ちゃんは、ママが自分の事置いて行ったって知ってるんだよ。起きてる時も、ぼくの服を握って離さないでしょう？きっととっても不安なんだよ。周二くんがパパかどうかなんて、今の双葉ちゃんには関係ない。そんなの大人の都合だもの。」
「こいつはまだ八か月だぞ？わかるわけないだろ？」
隼はきっぱりと言い切った。
「わかるよ。誰だって、自分の事を愛してくれる人の事は分かるよ。傍に愛してくれる人がいるから、子供は大きくなるんだよ。」
「そんなもんか？」
「そんなもんです。朱美さんが帰ってくるまで、ぼくは一生懸命守るよ、双葉ちゃんの事。預かったからには、責任があるもの。周二くんも、いい？双葉ちゃんには守ってくれる人が必要です。ぼくは、覚悟を決めました。二人で双葉ちゃんの事、うんと大切にしようね。双葉ちゃんのママが、泥船に乗った気持ちで安心していられるように。」
「お、おう。隼が覚悟を決めたんなら……つか。」
そこは大船じゃねぇのか、隼。お前、時々間違うけど、泥船だったら沈むんじゃねぇか…？…と言いたかったが、きりりとまなじりを上げて、双葉を守ると誓う凛々しい隼に周二は見惚れた。
促されて仕方なく周二も誓ったが、朱美に騙されたようで何となく腑に落ちない。しかし、二人が呼び出されたのが先代の妾の家と聞いて、沢木の方は何か理由があると考えたようだった。
「なるほどな。とりあえず、野獣にはややこしいことは言わない方が良いだろうと、あのばあさんなら考えるだろう。この通り、計算もできない大馬鹿だし。」
「……反論できないっす。」
「赤ん坊に危害が及ばないように、ある程度理解があって守れる程度には力の有る第三者が必要だったんだろうさ。関係があるかどうかわからないが、今日の夕方、関西系の暴力団が揉めてるってニュースが流れたぞ。墨花会と言ってたと思う。帰ったら木本にでも何が有ったか聞いてみろ。」
「墨花？」
墨花会と聞いて、周二は顔色を変えた。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。(〃ﾟ∇ﾟ〃)
(｀・ω・´)「泥船に乗ったつもりで、ど～んとまかせて！」
(°∇°;) 「え～と……」
やっぱり、パパ沢木に思いきりどつかれた周二です。あはは～ ヾ(〃^∇^)ﾉ
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