朔良咲く 18
だから、余計にテンションが上がったのかもしれない。
「すごいな~!甘ったれの朔良が自分で進路を考えるなんて、思いもしなかったよ。さあ、飲め。酔ったら負ぶってやる。」
「十分飲んでるよ。……あのさ、おにいちゃん。僕だって少しは考えるんだよ。」
「いや、それはないだろ。」
言い切る彩に、さすがに若干むっとする。
「何それ。僕だって、いつまでもこのままじゃ駄目だって思ってたんだからね。ただ、どこに行けばいいのか分からなかっただけなんだから。」
「そうか、そうか。えらかったな~、朔良。」
彩は朔良をぎゅうと抱きしめた。
「ちょっ、何やってるの……おにいちゃん……まさかの泣き上戸?」
「嬉しいんだよ。何か、もう感動したぞ。朔良~!」
涙ぐむ彩に、困ってしまった朔良は、とうとう打ち明けた。
「おにいちゃんの夢を奪うようなことをして、自分だけ大学に行きたいなんて、虫が良すぎると思ったからこれまで言えなかったんだ。打ち明けてもいいのか、それとも黙って進学して事後承諾って形にしてしまおうかって、迷ったよ。だけど……だけどね、話をしたら、おにいちゃんに本当に悔いはないんだってわかった。だから、僕はこれから勉強して大学に行きます。」
「ま、行きますって言っても、そこは通ればの話だな。朔良、数学嫌いだろ?」
「そうだけど……。」
「あのな~、朔良は簡単に言うけどな、理学療法士になるのは、難しいらしいぞ。一応、医療系だから理系の勉強は勿論、人間を相手にするんだからな。リハビリセンターから逃げ出した時みたいにはいかないぞ。むしろ逃げ出す奴を励ましたりしなきゃならないんだから。」
「わかってるよ……でも、詳しいね。なんでそんな話知ってるの?」
「同級生に、理学療法士になった奴が居るんだ。何でも、そいつの好きな奴が大怪我をして、少しでも力になりたいからって言う話だったかな。親しいやつじゃないんで直接聞いた話じゃないけど。勉強が大変だったと言う話を聞いた事が有る。」
「そう……」
「もし詳しい話を聞きたかったら、連絡取ってやろうか?」
「ううん、いい。主治医の先生に相談することになってるから。」
「そうか?」
その理学療法士の名前を、朔良は知っている。
本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)
ヽ(゚∀゚)ノ「朔良~!すごいな~!がんばったな~!」
(´・ω・`) 「おにいちゃん……僕の事、相当ダメっ子だと思ってるでしょ?」
(°∇°;) 「そ……そんなことは……あるかも、だけど……」
( *`ω´) 「もう~、僕だって少しは考えてるんだからね。」
(〃^∇^)「そうか。だったら偏差値は大丈夫なんだな。」
(つд・`。)・゚ 「……おにいちゃんの、あんぽんたん……」←がんばれ、朔良。
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