朔良―そのままの君でいい 14
人の手はこれほど温かかっただろうかと、小橋の指が背骨をなぞるように這うのを感じながら、ふと思う。
口腔を蹂躙されても、嫌ではなかった。
「はふっ……」
「朔良君。シャワー浴びない?」
朔良のシャツのボタンが、ゆっくりと外されてゆく。
「僕はこのままで良いですけど……まさか旭日さん……臭いとか気になってます?」
「怒るよ。」
「ごめんなさい。」
「いや、いい。……実は、気になってる。朔良君を抱えて階段を駆け上がったし。出来ればシャワーを使いたいんだけど。」
じっと朔良が見詰めると、小橋はがしがしと頭を掻き、視線を逸らし怒ったように口にした。
どうやら困った時に頭を掻くのは、小橋の癖のようだ。
「純情な中学生の女子みたいだと自分でも思うよ。だけど、君に嫌われたくないんだよ。おかしいかい?」
「僕は何も気にしないのに……。僕に自信がないのかと聞いた癖に、旭日さんは自分に自信が無いんですか?」
「自分に自信が無いわけじゃない。だけど僕は君みたいなうんと年下の綺麗な子と付き合うのは初めてなんだ。自分でも情けないほど臆病になってる。本当に僕なんかでいいのだろうかと思うよ。」
朔良は視線をそらして俯いた。
「僕は……そんな風に思ってもらえるような……生き方をしていません。」
泣きそうな横顔だった。
「きっと……僕の事をすべて知ってしまったら……旭日さんも……おにいちゃんのように僕から離れてゆくかもしれない。僕は……僕の方こそ……旭日さんに嫌われたくない……」
「朔良君。」
朔良の言葉を聞き、小橋は覚悟を決めた。
朔良がどれだけの決意をしてここにいるか、小橋にも分かっていなかったのかもしれない。
「何が有っても離さないよ。やっと手に入れたんだ。」
小橋の言葉に、やっと朔良はぎこちなく綻んだ。
「……言っておきますけど、誰かとお付き合いした経験はないのでリードしてくださいね。」
「可愛いことを言う。こうなったら泣いてもやめないからな。」
「僕が頼んでも……?」
「う~ん……そこは、僕の理性が持つかどうかだな。」
小橋は朔良を抱き上げると、寝室へと移動した。ベッドに朔良をそっと下ろすと、額にかかった髪をかき上げた。
身体中に幾つものキスが落とされる。
「八重桜の花弁の色のようだ……ここ。」
「んっ……」
そう言って吸い上げられると、朔良の身体はぴくりと跳ねて、胸の赤みは鮮やかな桃色になる。
小橋の指は朔良を凌辱して来た男たちの者とは違い、心からのいたわりを持って朔良に触れた。
朔良は小橋とこうなってみたものの、嫌悪感に苛まれるかもしれないと内心覚悟していた。小橋の腕の中でパニックを起こし、やはり誰とも愛し合えないのだと自覚することになるかもしれない……と密かに思っていた。
だが全身を愛撫されてゆくうちに、朔良の雄芯は素直に反応した。
「あっ……」
「感じやすいね、朔良君。」
朔良は涙ぐんだ目を小橋に向ける。
「感じているのかどうか……判らない……。でも、男だから触られたら反応してしまう……っ。」
「いいよ。感じてて……」
朔良は固く目をつむっていた。
閉じた目から、つっと一条の滴が流れた。
本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)
やっと小橋の家にやってきました。どこかぎこちない二人です。
このまま思いを確かめ合うことができるでしょうか……(*/∇\*) きゃあ~
[壁]ω・)どきどき……♡
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