紅蓮の虹・25
「ありがとう、虹。」
「うれしかった、来てくれて。」
俺は、笑うしかなかった。
やがて、懐かしい施設の前で百合と別れた。
「今はまだ、誰かの世話になっていなきゃならないけど・・・
いつかわたしが独り立ちしたら、会って。
虹。」
「虹がきちんとがんばっているのがわかったから、わたしも泣き言いわないでがんばる。」
コウゲイは側でずっとにこにこしていた。
俺はそっとつついた。
「何で、ずっと笑ってるんだよ・・・」
「いや、可愛くていいな~と思ってね。」
弱みを握られた気がした・・・
きっと、こいつには俺が百合の事が好きだとわかったのだろう。
何でもお見通しだから。
「お守りだよ。君とわたしの虹がいつでもつながっていられるようにね。」
「ありがとう、おじさん。」
あ~・・・・
百合ってば、又いっちゃったよ・・・
コウゲイの背にびりっと青白い炎が揺れた。
「水晶だよ。
強い波動を持っているから、困ったときには念じてご覧。
きっとわたしの虹の心に届くから。」
ふっと息を吹きかけ、コウゲイは小さな透明な球を革の袋に入れた。
「こっちはわたしの虹に。」
俺も小さな皮袋を首にかけて貰った。
百合が触ると、体温が届く気がする。
きっとコウゲイの不思議な力を込めてくれたのだろうと思う。
百合が施設に入ったのを見届けて、俺はコウゲイと手を取り合って上空に駆け上がった。
二階の窓に、百合のシルエットが見える。
雲ひとつない空に、赤龍は自在に飛翔した。
「あ!お母さん、虹が出た。」
小さな子供が空に向かって指を差している。
「あら・・・雨上がりでもないのに、不思議ね。」
「虹を見たから、きっといいことがあるわよ。」
あっという間に、俺等は点になった。
その後ステレオは、爺さんが送ってくれたそうだ。
ご丁寧にタクシーに大金を払った上に、運転手と共に施設にわざわざ行って、彼等のために言い訳をしてくれたらしい。
いつの間にか、「大好きな虹兄ちゃんに会いたくて来た」ことになっていた。
きっと何かしたのだと思うけど、気にしないことにした。
一度信用した奴は、俺はずっと信用する。
それが人の付き合いというもんだ。
ステレオはときどき、遊びに来るのを許された。
こちらから迎えをやると言う条件らしい。
「あの・・悪かったよ。」
俺はコウゲイに詫びを言った。
百合の事で一気に頭に血が上ったのが、いまさらながら恥ずかしかった。
きっとコウゲイがいなかったら、俺は百合の父親を叩きのめしていただろうと思う。
世間に背中を向けながら、これまでだって幾度となく俺は周囲に迷惑をかけてきた。
例えば、世話になった施設長とかにもね。
一度、激情に溺れてしまったら抑制が効かないと、自分でも知っていたはずだったのに・・・
「ごめんなさい。」
次から行動には気をつけるから。
あくまでも・・つもりです。
「うれしかった、来てくれて。」
俺は、笑うしかなかった。
やがて、懐かしい施設の前で百合と別れた。
「今はまだ、誰かの世話になっていなきゃならないけど・・・
いつかわたしが独り立ちしたら、会って。
虹。」
「虹がきちんとがんばっているのがわかったから、わたしも泣き言いわないでがんばる。」
コウゲイは側でずっとにこにこしていた。
俺はそっとつついた。
「何で、ずっと笑ってるんだよ・・・」
「いや、可愛くていいな~と思ってね。」
弱みを握られた気がした・・・
きっと、こいつには俺が百合の事が好きだとわかったのだろう。
何でもお見通しだから。
「お守りだよ。君とわたしの虹がいつでもつながっていられるようにね。」
「ありがとう、おじさん。」
あ~・・・・
百合ってば、又いっちゃったよ・・・
コウゲイの背にびりっと青白い炎が揺れた。
「水晶だよ。
強い波動を持っているから、困ったときには念じてご覧。
きっとわたしの虹の心に届くから。」
ふっと息を吹きかけ、コウゲイは小さな透明な球を革の袋に入れた。
「こっちはわたしの虹に。」
俺も小さな皮袋を首にかけて貰った。
百合が触ると、体温が届く気がする。
きっとコウゲイの不思議な力を込めてくれたのだろうと思う。
百合が施設に入ったのを見届けて、俺はコウゲイと手を取り合って上空に駆け上がった。
二階の窓に、百合のシルエットが見える。
雲ひとつない空に、赤龍は自在に飛翔した。
「あ!お母さん、虹が出た。」
小さな子供が空に向かって指を差している。
「あら・・・雨上がりでもないのに、不思議ね。」
「虹を見たから、きっといいことがあるわよ。」
あっという間に、俺等は点になった。
その後ステレオは、爺さんが送ってくれたそうだ。
ご丁寧にタクシーに大金を払った上に、運転手と共に施設にわざわざ行って、彼等のために言い訳をしてくれたらしい。
いつの間にか、「大好きな虹兄ちゃんに会いたくて来た」ことになっていた。
きっと何かしたのだと思うけど、気にしないことにした。
一度信用した奴は、俺はずっと信用する。
それが人の付き合いというもんだ。
ステレオはときどき、遊びに来るのを許された。
こちらから迎えをやると言う条件らしい。
「あの・・悪かったよ。」
俺はコウゲイに詫びを言った。
百合の事で一気に頭に血が上ったのが、いまさらながら恥ずかしかった。
きっとコウゲイがいなかったら、俺は百合の父親を叩きのめしていただろうと思う。
世間に背中を向けながら、これまでだって幾度となく俺は周囲に迷惑をかけてきた。
例えば、世話になった施設長とかにもね。
一度、激情に溺れてしまったら抑制が効かないと、自分でも知っていたはずだったのに・・・
「ごめんなさい。」
次から行動には気をつけるから。
あくまでも・・つもりです。
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