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ずっと 君を待っていた・9 

静々と、案内してくれた女性が恭しく桐箱を持って来た。
その中から古そうな巻物が取り出されると、床の間に飾り翡翠の風鎮をぶらさげた。
いつの時代の物かよくわからないけれど、ほら、奈良時代の・・・飛鳥美人とか教科書に載っていた気がする。

あれって、・・・吉祥天女だっけ?
冠を付けて、指先まで隠れる長い袖の着物を着た、長い髪の女性の絵が載っている。
しかも、不思議と、どこか懐かしかったりするんだよ。
読めないくらい達筆で、名前が書いてある。

「櫛名田比売・・・」

クシナダ・・・ヒウリ?
日本昔話の、ウリコ姫のモデル・・・?

引きつった笑いを浮かべた仲居さんが言うには、クシナダヒメと読みます・・・そうだ。
そして、ずるずるした絹の・・・ほら、掛け軸の絵と同じ、昔話の絵本に出てくる竜宮城の乙姫さまが着てるヤツ。
それをお召し換えくださいと言って、薄い桐箱に乗せて恭しく運んできた物を広げた。

「・・・あっ!」

むしろ、きゃあっ・・・?
側にいた、巫女さんみたいな格好した2,3人が、いきなりぼくをひん剥いた。

「わ・・・わわーーっ!」

「いいですっ、自分で着替えくらい出来ますから。」

「や・・・やめ、やめ・・・てーっ!」

おら、やめろってば!

ぶっ飛ばすわけにも行かず、素直に剥かれてしまった。

もうっ!

本家では、客人の話は聞かないことになっているらしい。
ぼくは着てきたものを、全て取っ払われて綺麗に剥き身にされると、そのまま風呂に放り込まれた。

おねえさんの、えっち。

「ごゆっくり、お湯浴みなさいませ。」

言葉は柔らかいけど、やることは有無を言わせない感じ。
あのぉ、風呂上りに・・・せめてパンツは、自分の物を穿かせてもらってもいいっすか・・・?
控えめに聞いたら、

「お着物に、下着は必要ございません。」

ですとっ・・・?




やっと本家に到着しました。これからクシちゃんはおいしくいただかれ・・・ればいいと思うのですが、そうお昼間の放送ですのできっと控えめです。
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