ずっと君を待っていた・14
凛々しい男の薄い唇が、そっと触れるために降りてくる・・・
「うわ~~~!!無理~~!」
飛び起きたぼくは、周囲の暗さと全身を流れる冷や汗に、意外な夢オチに胸をなでおろした。
「ゆ・・・夢かよ~・・・心臓に悪いぜ、まったく。」
「よりによって、何て夢みてんだよ~・・・。まったく、早いとこ、神楽だかなんだか済ませてさ・・・っ!こんなんじゃ、剣道部の早朝練習のほうがましだって・・・」
立ち上がって寝乱れた衣類を直そうとした時・・・気配を感じて思わず視線を上げた。
「・・・・!!」
ゆっくりと目線だけを上げれば、天井から下がった張り巡らされた梁に、爛々(らんらん)と燃える炎が二つ見えた。
逆さまにぶら下がる長い人影が、ゆっくりと裂けた口で真実を告げた。
やっぱり、人じゃない!
ぼくの死ぬほど嫌いな「長いもの」が裂けた口を開いた。
「わ・・・わ・・・っ!」
「どうした?夢などであるものか。」
ざっと音を立てて、全身から血の気が引いた気がする。
体中が恐怖に粟立っていた。
信じられないものを見てしまった驚きに、思考回路がどうにかなってしまったみたいだ。
「まじで、御・・当主さま?」
つっ立った俺の頬に、近付くのは割けた紅い舌だ・・・
ひんやりとした舌先が伸ばされて、顎の先をそっと何度も往復し、ちろちろと優しく撫ぜる・・・
「我と、クシナダの誓いだ。やっと、時が満ちたな。」
肩に乗る、大蛇の頭の重さを感じた。
震える口許を、冷たい爬虫類の舌が這う・・・
「・・・・ひぃっ!」
く、食われるっ!
食う気だっ!
大嫌いな長いものが、ぼくを飲み込もうとしていた。
俺を飲みかけた巨大な大蛇の姿に、今度こそぼくは意識を手放し、ぱたりと蒲団の上に倒れこんだ。
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現実と古代の融合みたいな、お話になっています。
悲恋の果てに、今があるわけなのですが余りロマンチックな展開になっていません。
もう少し甘くしたいものです。
主人公が、チキンな上に、気の毒なほど奥手というワンパターンな展開で・・・(今、かなりの方が「ちっ!又かよ」、と心の中で舌打ちなさったかと思われます。)がんばろう。
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歴史と分けているのですが、歴史物を書いていないのでちょっと気がとがめていたりします。
もし良かったら、よろしくお願いします。 此花
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