SとMのほぐれぬ螺旋・2
その場を取り繕うように、少しあわてて蒼太がいう。
「あのっ。熱いうちに食べましょう。ここのハンバーグ安いけど、値段の割にはちゃんと国産牛使ってて、おいしいんです。」
手馴れたしぐさで、ナイフとフォークを使う。
生まれ育ちがいいのと、海外暮らしが長かったせいだろうか、有名レストランが似合いそうな上品なたたずまいだった。
塾のない日、制服を脱ぎ捨て木本に抱かれて淫乱になる蒼太の、誰も知らない顔を知ってる木本は正真正銘の真性サディストで、なぜこんな子供を相手にしているのだと木本を知っている人間はみな首を傾げるだろう。
開花したアナルローズを斜に眺めて、鞭を振るうサディストの木本と、蒼太のそばにいる優しげな木本はとても同一人物には見えない。
文化祭当日、晴れやかな顔で屈託なく木本に手を振り、笑みを浮かべた蒼太を自由にしてやると決めた。
可愛くて堪らない蒼太の、生徒会長としての顔を見てしまった木本は、蒼太には明るい陽の中を歩くのが似合いだと思った。
「自由にしてやらなきゃなあ・・・と、思ってさ。そろそろ、あいつも進路とか考える頃だろ。」
季節はいつの間にか、晩秋となりアキアカネが飛ぶようになっている。
「でも、あいつ。木本さんのこと大好きじゃないですか。きっと離れませんよ。」
「そんなときゃ、こっちから別れてやるのが、大人ってもんだろ。」
木本はほっとため息をつき、いつもと違う顔を見せていた樋渡蒼太の顔を思い浮かべた。
『これも、愛?木本さん・・・?』
何故かいつも縋りつくような目で、愛を確認する年下の恋人だった。
狂おしい秋に、引導をわたし自由にしてやろうと思った。
恋に不慣れな蒼太が、沢木隼に対する「おいた」が過ぎて、仕置き代わりに無理矢理抱いたのが始まりだった。
真性サディストの自分に必死で縋る蒼太を、本心から可愛いと思っていた。
そして、文化祭に来てくれと年下の恋人にねだられて出かけた木本は、はっきりと気付いてしまったのだ。
「蒼太と俺じゃ、生きる世界が違うんだよ。分かっているなら自由にしてやるのが大人ってものだろう・・・?」
文化祭の帰り道、松本にそう告げて別れることにしたのだ。
だが松本の言うとおり、なまじっかなことでは蒼太は別れるとは言わないだろう。
だから、策を弄して嫌われることにした。
蒼太のために・・・
普通の高校生と恋をするのは、自分ではいけないことだと思っている木本さん。
秋が深まるように、愛が深まりますように。
木本さん、サディストの設定です。・゜゜・(/□\*)・゜゜・わ~ん 、無理な設定だ~、知らないことが多すぎます~・・・・←知ってどうする?
どうぞ色々、大目に見てください。
当社比120パーセントのファンタジーで、美しい愛に溢れたいです。 此花
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こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
木本さんのイメージは、カロリーハーフchobonさんの素敵おじさま祭りからお借りしました。連載間、お借りいたします。しっとりと物憂げな男性の表情が、色っぽくて素敵です。きゅんきゅん。
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