SとMのほぐれぬ螺旋・9
いい子だなと、言ってしまってから、その言い方がまるで木本の写しなのだと気がついて、堰を切るように感情が込み上げてしまった。
深く顔を覆ってしまった生徒会長に、かける言葉をなくして隼はおろおろしている。
「あ・・・の。会長?ぼく。何か変なこと・・・ごめんなさい。余計なこと言ってしまった・・・?」
「沢木・・・沢木・・・隼。頼むから、少しだけこうしていて・・・」
そっと、ドアの隙間に気配を感じて目線を送ったら、周二が肯いた。
いつか、周二を胸に抱えてまるで聖母マリアのピエタのように見えた隼は、自尊心が粉々になった脆い心の少年をかき抱いた。
何が正しいのか、いけないのかわからなくなって、すっかり自信を喪失していたが、少しだけきっかけをつかんだ気がする。
「ま・・だ、間に合うかな・・・」
黒い癖の無い髪の毛に、そっと手を伸ばして撫でた。
「何もしないでいるよりは、きっと伝えたほうがいいです。・・・叶わなくても。」
隼の胸から眼差しをあげたとき、樋渡蒼太は全校生徒が羨望の目を向ける、きりりとした孤高の生徒会長の顔になっていた。
「ありがとう、沢木。不毛に迷宮のラビリンスで考え込んでいるばかりじゃなくて、ぶつかってみるよ。」
「君が伝えたいのは、自分で納得ゆくまで相手と向き合えってことだね。」
「君は書記としても、友人としても有能だね。・・・木庭が羨ましいよ。」
部屋から出るとき、周二に気がついて最後の一言はそっちに向けたようだ。
「君のねんねは、木本さんの言うとおりただの「ねんね」じゃないね。なんだろう、傍にいるだけで闇の中で一条の光明が射した感じかな。凍っていた胸に、暖かい灯がともった気がする。」
ふっと破顔して周二が、めんどくせぇ、もっと分かりやすい日本語使えよ、と言う。
「・・・ったりめーだろ。隼は、この木庭周二の情夫(いろ)だぜ。」
見送る背中に、これまでのように自信に溢れた覇気が戻ったような気がする。
「隼。」
「あ、周二くん。迎えに来てくれたの?もう少しだけ待っててね、文化祭の決算書、提出期限があるから片付けます。」
「そんなのいいから、こっちに来いよ。」
「だめです~。お仕事はきちんとしなくちゃいけません。」 (`・ω・´)←きりっ!隼。
まじめな顔でファイルに向かい、隼は計算機でカタカタと打っていたが、周二はその横にわざとらしく座った。
さわさわと、あちこちに指が伸びる。
「だ・・・めっ。お仕事中です。」
「隼に、生徒会長の匂いが付いてるのが、やなんだよ。」
「え?だって、周二くん、さっき肯いたよ・・・?あれは、慰めてあげての合図でしょう?」
制服の胸に鼻をうずめて、いたずらな指がその下を探った。
薄い桃色のささやかな突起が、ぺったんこだったのをぐりぐりと押すと、ほんの少しぷくりとなって周二にかまわれたいと紅色のほのかな色を付ける。
片方の胸の尖りを強く吸ってやりながら、片方をつまみ上げ指の腹でこすった。
「隼・・・、ここも、好き・・?」
「す・・・あっ・・・ぱ・・ぱんつは、卒業まで脱がしちゃいけませんよ~。」
「ぱお~っ・・・(´・ω・`)」 通訳:「純愛ですから~」
「そのつもりだったけど、腹立ってきた。今すぐ、隼のぴんくのぞうさんにマーキングするっ!」
「きゃあ。」
【おまけ】
「そういえばぼくと、周二くん。秋企画終わって、もう出番ないはずじゃなかったっけ・・・」 by-沢木隼
「まったく。ぼくと木本さんの話なんだから、少しは遠慮してくれないかな。」 by-樋渡蒼太
「ごめんなさい。書いてるうちに、二人に会いたくなってしまいましたので自分でキリ番リクエストしました。」by-此花
「キリ番って・・・(´・ω・`)?」by-沢木隼
「拙作をお読みいただいて、カウンターが回りました。ありがたいことです。・・・」by-此花
「で、何で自分でリクなんだよ?」 by-周二
「(´;ω;`)・・・」 by-此花
「大体、おめぇが、木本に言う事きっちり言わないから、こういうことになってるんだろうが。」
「おっさんてのはみんな、年下の恋人には小心で消極的で、これっぽっちも自信もてない人種らしいぜ。」 byー周二
「自信もてない・・・なんて。木本さん、あっちはあんなにすごいのに・・・・(/▽\*)きゃあ。」by-蒼太
「らぶ。こいつ、ぐるぐる巻きにして、木本のところへ配達して来い。」byー周二
「了解(らじゃっ)!(`・ω・´)」by-ラブ ボディ隼
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こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
(pioさま鼻血ぷぷっの美麗イラストお借りいたしました。ありがとうございました。久しぶりのきゅんきゅんの綺麗お子さまです~。わ~いっ!
上さまの所の、トップのイラスト拝見しました。余りに美しくて切なくて思わず涙ぐむほど綺麗です。ぼうっと長いこと見惚れてしまいました。素敵です。~
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