花菱楼の緋桜 6
ぐいと引き寄せられると、浅木の膝の上に乗せられた格好になった。
「あっ……あの……、一人で大丈夫です。洗えますから。」
湯の中では身体は浮いて自由にならない。狼狽した緋桜は必死に身を捩った。確かめるように無言の浅木が全身を、あちこち撫でさすってゆく。
逃れようとしても、緋桜の身体は抱え込まれたままだった。
「は、なして下さい……っ!浅木兄……さん。ん~っ!」
湯船で容易く体の向きを変えられ、口を吸われた。
唇を割って生暖かい舌が侵入ってくる。
口中を蹂躙する浅木の舌に思わず歯を立ててしまい、ぱんと頬を張られた。
驚いて見つめる先の浅木の口元に、つっと血が流れて緋桜はあわてた。
「あっ、ごめんなさい。ごめんなさい、浅木兄さん……。許して、く……くんなまし。」
ふっと浅木が笑ってくれたのに安心した緋桜だったが、青年の手がゆるゆるとちっぽけな若茎にかかり慌ててしまった。
「あっ……!」
一体、浅木がどんな思惑を持って自分をかまうのか、禿になったばかりの緋桜にはわからない。ばしゃばしゃと湯の中を逃げまくり、何とか湯船から逃げ出したもののすぐに捕まって、すのこの上にころりと転がされた。
後に知ったが、この黒髪の美青年は身体が大きくなりすぎて、花菱楼の娼妓にはなれなかったらしい。立ち姿も凛々しいこの番頭新造は、少々身体が雄々しくなったばかりに男衆と同じ裏方の仕事に従事する道を選んだ。元は安曇のように娼妓になるため、遠く阿波から楼閣入りした美童だった。
くるりとひっくり返された緋桜の秘所に、柔らかいサボンの泡が落とされ塗り込められていく。緋桜はひっくり返された羽虫のように、じたばたともがいていた。その上で、逃げる緋桜の秘所に、ぷつと何かが侵入し思わず息を詰めた。
「ひ……やあーぁっ!」
どんと胸をついて逃げようとしたが、抱え込まれてしまった小さな体は楔を打ち込まれたように動かせない。
「きついな……。」
抜きも差しもならない一本の指に、思わず浅木は青海花魁の無茶ぶりに苦笑した。検めようにもこれではまるで、固く喰いしばった貝の口だ。下手をすると怪我をさせてしまう。
左足を膝裏から抱え上げて、動かせない秘所に入った自分の指を眺めて、過去を思い出し思わず破顔してしまう。両手を胸で抱えて震える禿に、無体を仕掛けるような役を頼まれるとは思っても見なかった。
腕の中の小さな市松人形は、真っ赤な顔をして声にならない声で「やめてくんなまし……兄さん……どうぞ、やめてくんなまし……」と、何度も哀願を繰り返していた。
「やめるわけにはいかないんだ。これもおいらの仕事でね。」
緋桜が下腹に力を込めて、入った異物を押し出そうとして力み、きつい指がほんの少し自由になったのを浅木は見逃さなかった。力を込めてぐいと、第二関節まで押し込むと緋桜の喉が悲鳴を押し殺し、ひゅっとなった。
「ど、どうして……?」
こんなことをするのかと、涙を溜めた黒い大きな目が、浅木に向けられた。
番頭新造の浅木は、ふっと優しく笑った。
青海花魁に頼まれてその言葉を引き出すために、こうしている。
「どうしてって、お前は娼妓になるためにここに来たんだろう?それとも、お前の決心とやらは、俺の指一本と引き換えにするほど容易いものなのか?いいかい、これがこの先のおまえの仕事になるんだよ。毎日、客を取る前に身体に無理が行かないように、こうしてゆっくり菊門を開いてゆくんだ。お道具を使ってね。」
「……。」
「最初は泣くほどつらいが、直に慣れる。花菱楼の娼妓なら誰でも通る道だ。」
「せ、青海兄さんも……?」
「そうだ。青海花魁も最初は狭くて泣いた。お前と同じようにね。」
(´・ω・`) 緋桜:「青海兄さんも……。」
今日もお読みいただきありがとうございました。
この作品は、加筆改稿してありますが再掲になります。 此花咲耶
「あっ……あの……、一人で大丈夫です。洗えますから。」
湯の中では身体は浮いて自由にならない。狼狽した緋桜は必死に身を捩った。確かめるように無言の浅木が全身を、あちこち撫でさすってゆく。
逃れようとしても、緋桜の身体は抱え込まれたままだった。
「は、なして下さい……っ!浅木兄……さん。ん~っ!」
湯船で容易く体の向きを変えられ、口を吸われた。
唇を割って生暖かい舌が侵入ってくる。
口中を蹂躙する浅木の舌に思わず歯を立ててしまい、ぱんと頬を張られた。
驚いて見つめる先の浅木の口元に、つっと血が流れて緋桜はあわてた。
「あっ、ごめんなさい。ごめんなさい、浅木兄さん……。許して、く……くんなまし。」
ふっと浅木が笑ってくれたのに安心した緋桜だったが、青年の手がゆるゆるとちっぽけな若茎にかかり慌ててしまった。
「あっ……!」
一体、浅木がどんな思惑を持って自分をかまうのか、禿になったばかりの緋桜にはわからない。ばしゃばしゃと湯の中を逃げまくり、何とか湯船から逃げ出したもののすぐに捕まって、すのこの上にころりと転がされた。
後に知ったが、この黒髪の美青年は身体が大きくなりすぎて、花菱楼の娼妓にはなれなかったらしい。立ち姿も凛々しいこの番頭新造は、少々身体が雄々しくなったばかりに男衆と同じ裏方の仕事に従事する道を選んだ。元は安曇のように娼妓になるため、遠く阿波から楼閣入りした美童だった。
くるりとひっくり返された緋桜の秘所に、柔らかいサボンの泡が落とされ塗り込められていく。緋桜はひっくり返された羽虫のように、じたばたともがいていた。その上で、逃げる緋桜の秘所に、ぷつと何かが侵入し思わず息を詰めた。
「ひ……やあーぁっ!」
どんと胸をついて逃げようとしたが、抱え込まれてしまった小さな体は楔を打ち込まれたように動かせない。
「きついな……。」
抜きも差しもならない一本の指に、思わず浅木は青海花魁の無茶ぶりに苦笑した。検めようにもこれではまるで、固く喰いしばった貝の口だ。下手をすると怪我をさせてしまう。
左足を膝裏から抱え上げて、動かせない秘所に入った自分の指を眺めて、過去を思い出し思わず破顔してしまう。両手を胸で抱えて震える禿に、無体を仕掛けるような役を頼まれるとは思っても見なかった。
腕の中の小さな市松人形は、真っ赤な顔をして声にならない声で「やめてくんなまし……兄さん……どうぞ、やめてくんなまし……」と、何度も哀願を繰り返していた。
「やめるわけにはいかないんだ。これもおいらの仕事でね。」
緋桜が下腹に力を込めて、入った異物を押し出そうとして力み、きつい指がほんの少し自由になったのを浅木は見逃さなかった。力を込めてぐいと、第二関節まで押し込むと緋桜の喉が悲鳴を押し殺し、ひゅっとなった。
「ど、どうして……?」
こんなことをするのかと、涙を溜めた黒い大きな目が、浅木に向けられた。
番頭新造の浅木は、ふっと優しく笑った。
青海花魁に頼まれてその言葉を引き出すために、こうしている。
「どうしてって、お前は娼妓になるためにここに来たんだろう?それとも、お前の決心とやらは、俺の指一本と引き換えにするほど容易いものなのか?いいかい、これがこの先のおまえの仕事になるんだよ。毎日、客を取る前に身体に無理が行かないように、こうしてゆっくり菊門を開いてゆくんだ。お道具を使ってね。」
「……。」
「最初は泣くほどつらいが、直に慣れる。花菱楼の娼妓なら誰でも通る道だ。」
「せ、青海兄さんも……?」
「そうだ。青海花魁も最初は狭くて泣いた。お前と同じようにね。」
(´・ω・`) 緋桜:「青海兄さんも……。」
今日もお読みいただきありがとうございました。
この作品は、加筆改稿してありますが再掲になります。 此花咲耶
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