禎克君の恋人 4
インターハイへ向けて、暑さ対策を考えた練習は死ぬほどきつかった。
体育館を締めきって蒸しぶろ状態にし、身体を虐めぬく。夏の試合は、半分は体力勝負と言ってもいいくらいだ。
「おらっ!のんびりインターバル挟んでいる場合じゃないぞ。そのまま行くぞ。死ぬほど走って足腰鍛えておくんだ。熱中症にならないように、水分だけは取っておけよ。」
「はい!」
覚悟はしていたが、長時間のマンツー練習が始まると、さすがに中学とのレベルは雲泥の差だ。
自分の力不足に、禎克は唇を噛んだ。付いていけないのが、悔しい。
足がもつれる。
張り付いた相手を振り抜けない。
やっと入れたパスをことごとく奪われる。
「金剛、それじゃ出したパス、皆ブロックされちまうだろ!頭で考えてないで、叩き落されないコースを閃きで見つけて、入れるんだよ!抜いてやろうなんて、考えるな!」
「もう一度、やってみろ。ディフェンスやりすごして、サイドの上谷にパス出せ。」
「はい!」
締め切った体育館は蒸し暑く、思うように体が動かない。体力には自信があったはずなのに、最後まで走りきる持久力が無い。パスコースが見えなかった。
ゴール下でパスを叩き落され、そのまま何度もカウンター(反撃)を食らった。
ザシュッと相手チームのリングが連続で揺れる。禎克の入ったチームは、どんどん点差を広げられてゆく。
「ああああーーーっ!!」
不甲斐なさに思わず天を仰ぐ。これでインターハイ出場を狙うチームのポイントガード(要)になるんだなどと笑わせる。きっと上谷も失望しているだろう。悔しくてたまらなかったが、身体が鉛のように重くなって付いてこなかった。
紅白試合の終了の笛が鳴ると同時に、禎克は床に倒れ込んだ。
ぐる……と天井が回る。
視界に上谷が入った。
「きつかっただろ、金剛?」
「はっ、はっ……」
声も出せずに酸素を求めた。自分の体力の無さと高校のレベルの高さを思い知る。
上谷が手を貸して起こしてくれた。
「ほら。」
「ありがと……ございます。」
冷えたスポーツドリンクが、嗄れた喉に染みる。
「俺もそうだったよ。ここに来た時、合宿初日に、くじけそうになったよ。中学ではそこそこ自信持ってやってたのが、数か月後、高校じゃまるで通用しないんだからな。」
「は……い。」
上谷の言う通りだった。
「まだ、途中で交代させられなかっただけでも、俺が一年の時よりましだ。合宿終わるころには、慣れるはずだし、これをこなせれば体力も脚力もつく。頑張れ。」
「……が、がんばります。」
バスケット小説に……? Σ( ̄口 ̄*)
(´・ω・`) 大二郎 「さあちゃん~」
ε=(ノ゚Д゚)ノ ~〇 禎克 「先輩!パス!」
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