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小説・初恋・24 

「そうか、良かった・・・。

如月に恥をかかせてしまったかと思って、心配だったんだ。」


賞賛の渦中にあった自分の事を、何も分かっていない目の前の級友は、鞍を置いていない毛並みの良い若駒のようだ。


声を潜めて、耳元で颯は言った。


「君の舞踏が、一番美しかった、如月。」


「母上の次にね。」


屈託の無い笑顔で、手を振って最後の客は退出した。


「あれは?」


肩をすくめて、奏は湖西から話をそらした。


「ただの級友です、お爺様。

さあ、夜露は身体に、毒ですよ。」


「・・・あれを欲しいとは、言わぬのだな。」


奏に、言えるわけがなかった。


たった一度だけ・・・幼い奏が、懐いた小間使いにお嫁に行くのをやめて側にいてと、泣いたことが有る。


それを知った湖西が黙って部屋を出て行き、一体何をしたか・・・


次の日、奏は小間使いの部屋を覗いて、卒倒した。


奏の欲しかった優しい手は血にまみれ、慈愛の瞳は二度と開かれなかった。


彼女は冷たい骸となり、泣きすがった奏に、血の付いたステッキを振って湖西はこう言ったのだ。


「これで、美代は嫁にはいけまいよ。」

「望みどおりだな、奏。」

頬にぴっと血しぶきを受けて、幼い奏はあまりの恐怖に、目を瞠ったまま戦慄の中で言葉を失った。

一体、この老人がどうやって今の地位を手に入れたか。


それを語らなければ、誰も奏の心の内を理解できないだろう。

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3 Comments

此花咲耶  

nichika さま

色々苦労している奏です。
もうすべてをお読みいただいた頃かしら。一気読みしてくださって、うれしいけどお目目、だいじょぶでしょうか?
このちん、ちょっと心配でっす。(´・ω・`)

2013/02/03 (Sun) 21:12 | REPLY |   

此花咲耶  

小春さま

小春さま

> 幼い頃にそんなことが・・・・・・・・・
>
> 可哀想な奏・・・・・・・

もっと、ショッキングで可哀そうな出来事があります。(´・ω・`)あう~・・・

2011/01/23 (Sun) 02:42 | REPLY |   

小春  

ん・・・・・

幼い頃にそんなことが・・・・・・・・・

可哀想な奏・・・・・・・

2011/01/23 (Sun) 00:26 | EDIT | REPLY |   

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