深い森の奥の魔導師・23
「行こう!ジェード!」
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魔導師達は、胴体から離れてもなおシュウシュウと恐ろしい水蒸気を上げ続ける、大きな岩を遠巻きに見ていた。
石に刻まれる獣の数字「666」は、魔導師達を威嚇するように深く刻まれ、卵たちは顔色を無くしている。
一人の魔導師が足元の花を一輪、吹き上げる瘴気にそっと掲げたところ、瞬く間に枯れ落ち引きつった。
七つの頭に王冠をかぶり、10本の角を持った最後の魔界獣が、一つの首を落され猛り狂っていた。
「あと、6つの頭を落とせばいい。一時に、八方から襲う。」
声なき決意が、あたりにみなぎっていた。
「空、地上、背後、囮に部隊を分ける。空からの攻撃は、トモとジェードが率いる。出来るな。」
「はい。必ず!」
今や自信にあふれた、トモとジェードが大魔導師オメガの元にひざまずいた。
祝福を受けたトモは誇らしげに、ジェードの背に乗り魔導師の杖を掲げた。
大魔導師オメガが、大魔導師達と策を練り、卵たちに見合った戦術を次々に授けてゆく。
使い魔と絆を結んだ魔導師達が、互いに手を取り信頼を寄せている姿は、戦場に向う痛ましさとは無縁のとても満ち足りた表情を浮かべていた。
世界を守る責任感と高揚感に、卵たちの胸が高鳴る。
跳べない使い魔を持った魔導師達が、長い髪を切り、獣の毛皮と合わせ毛玉にしタールと油脂を染み込ませてゆく。
草の上にいくつも並べ、魔界獣の元へと転がして行く。
魔界獣の腹を脂で満たすことが、彼らの使命だった。
肉と獣脂を炙る匂いに惹かれ、次々と黙示録の獣の頭部は毛玉を飲み続け、げふりと胃の腑から凄まじい匂いのげっぷを吐き出した。
「ジェード!気を付けて、瘴気に当たったら肌が傷つくよ。」
「キュエーーーーーッ!」
上空からほかの魔導師達と共に旋回しては、黙示録の獣を挑発するトモは、その中の一つの首に似合わぬ透明の宝玉を認めた。
「キュラーーーーッ!キュラだ!ジェード!生きているっ!」
「大魔導師オメガに知らせなければ!お願いジェード!帰って!」
高く低く様子を伺いながら、球の中に閉じ込められている大切な友人にトモは作戦を実行できなくなった。
「ジェードーーーッ!」
翼の付け根で必死にキュラを思うトモの気持ちは痛いほどに判る。
だが時は多くは残されていなかった。
トモの願いを振り切って、ジェードは旋回を続けた。
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。・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。トモ:「ジェード!キュラが~~!」
!(`・ω・´)ジェード:「トモゥ、キュエッ!」←今はすべきことをしなければ!
(´/ω;`)トモ:「うぅ~、でも、でもキュラ~・・・。」
※携帯からは、両方とも一番下にスクロールして「PC向けのページ」を押して「決定」で完了になるそうです。
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