深い森の奥の魔導師・15
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キュラの頬に、優しい手が触れた。
耳元に響く懷かしい声。
ミルクを搾り取られ続けたキュラが、目を固く閉じたままいやいやと力なく頭を振る。
「キュラ・・・おれと身体つなぐんだろ・・・?」
その声にはっとしたように、ゆっくりとキュラが顔を向けた。
キュラの大好きな亜麻色の髪が、ほらと言って大きく足を開き誘った。
許されて、やっと腕を下したキュラは床に横たわる最愛の魔導師の卵に、手を伸ばした。
震える指が、トモの足首にかかった。
「・・・ト・・・モ・・・ねぇ、トモ・・・使い魔の竜を、呼ん・・・で。」
「残念だな、魔導師!」
頭上から割れた哄笑が響く。
そこでキュラはやっと気が付くのだ。
愛おしいと心の底から望む相手の姿を淫魔は映す・・・と。
「淫魔の俺と、身体つなぐんだろ・・・あはは・・・っ!」
「トモ・・・トモ・・・助けて・・・いや、いやぁ・・・」
羽虫の這う湿気た床に倒れ込んだキュラは、とうとう気を失い動かなくなった。
虫の息となった半眼の瞳には、もう何も写らない。
「なんだ、もうお終いか?」
銀狐のエリンが剥き出しの肉に、ざらついた舌を当てた。
魔導師の純潔を汚し、淫乱にしたエリンの姿をよく見ると、足にガチョウの水かきのようなものが付いている。
異形の姿で現れた好色な悪魔が、魔界の本来の瘴気を浴びて、元の姿を現そうとしている。
色好みで知られる魔界のアスモデウスが、淫魔よりも力を持つ悪魔が何故こんな姿で魔導師の世界に入り込んできたのか。
魔界で一番優美な姿を持つベリアルが、アスモデウスを払いキュラの姿をまじまじと見つめた。
「捨て置くには惜しいな。」
げっそりとやつれ果て酷い隈を浮かべたキュラを抱き上げると、ベリアルは守護の魔法をかけた。
小さな珠の中にキュラを封じ込めると、魔導師にエリンと呼ばれた悪魔の有力者の首にぶらさげた。
多くの悪魔たちが集合体となって、魔導師の世界を取り込みいよいよ薄くなった結界を破り這い上がる時が来た。
尾の一振りで、天空の数多の星の三分の一も払い落としてしまうほどの、強大な力を持つ「黙示録の獣」となり、不穏に魔界が動き始めていた。
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(´・ω・`)此花:「キュラ、大丈夫~?」
ヾ(。`Д´。)ノ彡キュラ:「大丈夫なわけあるか~、ぼけ~!!もう、カスカスになってもうたわ!」
(´/ω;`)トモ:「もうすぐ助けに行くからね・・・」
ヾ(。`Д´。)ノ彡キュラ:「はよ来いっ!ぼけっ!かすっ!」
此花・トモ:「だって。段取りとかあるし~・・・(*´・ω・)(・ω・`*)ネー・・・」
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