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深い森の奥の魔導師・20 

大魔導師オメガとユニコーンの護る結界は完璧に魔軍の進軍を阻止していた。
聖なる白い一角獣の首を抱き、大魔導師オメガは魔界から噴き上がる熱風に曝され耐えている。
豊かな髪が、天上に向かって逆巻いた。

≪Servo is ex a taedium res!(忌まわしいものから護れ!)≫

朗々と唱える大魔導師オメガの大地を冷やす青魔法が、風に乗って守るべき世界の上を渡ってゆく。

魔界の内に溜められた力は奔流となり、地脈を搖がし、背中合わせに存在する人間世界に天変地異を引き起こしていた。
巨大なサイクロンが爪を研ぎ、地上のいきとし生けるものをなぎ倒し、溶岩がふつふつと奔流となって、出口を求めていた。
力を持たない人間の祈りは、楔(くさび)となった魔導師達の護符になる。
寄せられる思いの全てを力に変えて、大魔導師オメガと使い魔のユニコーンは、不眠不休で結界を守る。
魔導師の卵たちは、オメガを支え力を合わせ、ほころびた個所の修復にあたっていた。
油断すると、少しのほころびからすぐに小物の悪魔が顔を出した。
消滅呪文をどれほど唱えても、悪魔たちの作った土人形は気が遠くなるほどの数を頼みに、裂け目から這い上がってきた。

大魔導師との契約が無くなったカーディナルは、すべての力を放出すべく人型を捨てて巨大な古代竜となり魔導師の世界を見守っている。
一つの楔(くさび)が弾け跳べば、蟻の一穴のようにそこから一気に世界は滅びに向かう。
大魔導師エルの欠けた穴は、想像以上に大きかった。
最後の古代竜、カーディナルの愛した大魔導師エルの願いを、彼はまぶたの落ちる最期の瞬間まで決して忘れないだろう。

≪Meus ancient extraho , rutilus jewel(わたしのエンシェントドラゴン・レッドカーディナル)』
≪Acsi vita runs sicco , diligo persevere forever(命はつきても永遠に愛は続く)≫


大空を覆うように、魔導師と契約を結んだ聖獣、神獣が飛び交っていた。
翼と一対の足を持つワイバーン、翼を持つが足のないワイアーム、炎のドラゴン。
天界と魔界が最後に戦ったときに、天界から突き落され地獄へ転がり落ちた恐ろしい「黙示録のドラゴン」が爪を研いでいた。

天界へ戻る足がかりに、魔界獣は魔導師の世界を食らいつくそうとしている。
「ヨハネの黙示録」に記された最期の戦いが近づいていた。

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m111157改 

|ω・`)此花:「短くてごめんね~」

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2 Comments

此花咲耶  

ねむりこひめさま

> なんとも壮大なお話です!

最初は捧げものの一話で終わるつもりだったのですが、続編書き始めたらあまりに大きなお話になってしまって大変です…(´・ω・`)

> 魔界と魔導師界の戦いが、伝わってきてすごい迫力です!
> オメガ様が素敵です!
> トモ、トト、そしてキュラ頑張って~!

ありがとうございます。
ねむりこひめさまも初めての鬼畜もの、頑張ってくださいっ!←言い方、変~(*⌒∇⌒*)♪

(`・ω・´)トモ、トト、キュラ、此花(どさくさ)「がんばります!」

コメントありがとうございました。うれしかったです(*⌒∇⌒*)♪

2011/02/06 (Sun) 17:32 | REPLY |   

ねむりこひめ  

NoTitle

なんとも壮大なお話です!
魔界と魔導師界の戦いが、伝わってきてすごい迫力です!
オメガ様が素敵です!
トモ、トト、そしてキュラ頑張って~!

2011/02/06 (Sun) 10:54 | EDIT | REPLY |   

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