深い森の奥の魔導師・17
魔軍の編成は、かつて天界と戦って負けて以来、蹴落された力天使が担っていた。
天界は堕天使達がかつて住んでいた、光に満ち溢れた清浄な場所。
どれだけ焦がれても、二度とそこに駆け上がることは許されない。
純白の羽を持つもの以外は、天国の門をくぐれない。
邪なものがくぐろうとしたとき雷が矢となって降り注ぎ、その身は再生もかなわぬほど焼かれる。
天界で一番神に愛されたルシファーの、特別な羽は12枚の翼が重なり合った光輝く美しいものだった。
誰もが飛翔する姿に、羨望の目を向けた。
だが今や、地獄(魔界)の王となり、かつては神の傍に侍っていたお気に入りは地に堕ちその羽も今や邪気と瘴気を吸って闇色に濡れている。
「機は熟した!大魔導師亡き今こそ、我らの積年の思いを遂げる時が来た。」
天界と、魔界(地獄)の間にそびえる魔導師の世界と、人間の世界、双方を守る魔導師こそが魔界の天敵だった。
「大魔導師の首を狙え!残るは容易い。」
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大地が揺れていた。
出口を求めて地底から、熱い溶岩がうねるように大挙して「魔」がやってくる。
大魔導師は古来からそうしてきたように、魔導師達を分けた。
「青い魔法を使えるものは、大魔導師イオタの元へ!良いな、決してひるむなよ。」
大魔導師オメガの励ましに、卵たちは肌を泡立てさせながらも、決死の覚悟を決めた。
「トモ!トトはどうした?五芒星を組むのに、陣が欠けているではないか。」
丘の上からオメガが使い魔のユニコーンに乗り駆けてきた。
「急げ!一人も魔界にやってはならぬ。」
淫魔に取り憑かれたキュラの餌食になりかかったトトが、使い魔の蝙蝠を連れたままいなくなっていた。
「ジェード、トトを知らない?」
トトは魔界から送られて來る思念に、影響されていた。
好色な悪魔の隠微なセクスを味わったものは、どんなに拒もうと身体が相手を求めてしまう。
瘧(おこり)でおきる高熱のように、疼く体を抱きしめてトトはよろよろと魔界への入り口に近づこうとしていた。
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ヾ(。`Д´。)ノ彡オメガ:「ちょっと、目を離すと卵がいなくなってるし!」
(´/ω;`)トモ:「トト~まだ体もよくなっていないのに、大丈夫かなぁ・・・」
ヾ(。`Д´。)ノ彡キュラ:「はよ助けろやっ!ぼけっ!かすっ!」
(*´・ω・)(・ω・`*)トモ・ジェード:「も、み~んな諦める?」
ヾ(。`Д´。)ノ彡オメガ:「こら~!」
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